フェラーリ・ラ フェラーリ

ラ・フェラーリ：フェラーリの誇るハイブリッド・スーパーカー

2013年、フェラーリ社は「F150プロジェクト」として開発を進めていた新型スーパーカー、「ラ・フェラーリ」を発表しました。社内では「ニュー・エンツォ」の呼び名で親しまれており、その名に示される通り、伝説的なモデル「エンツォ・フェラーリ」の後継車として位置付けられています。 ラ・フェラーリは、フェラーリ初の市販ハイブリッドカーという点でも大きな注目を集めました。

開発と発表

開発期間中は、フェラーリF1チームのドライバー、フェルナンド・アロンソとフェリペ・マッサの意見も取り入れられました。2012年には、パリサロンでカーボンモノコックが公開され、その後、公式ホームページで発表が予告されるなど、盛大なティーザーキャンペーンが行われたことも記憶に新しいです。

限定生産台数は、当初499台と発表されましたが、後にイタリア中部地震の義援金活動の一環として、500台目の生産が行われました。価格は非公開でしたが、報道では約100万ユーロと推測されています。2016年には、オープンモデルの「ラ・フェラーリ・アペルタ」も発表されています。

デザインとメカニズム

ラ・フェラーリのボディデザインは、ピニンファリーナではなく、フェラーリ社内のデザインチーム「フェラーリ・デザイン」が担当しました。1960年代後半のスポーツプロトタイプを彷彿とさせるデザインが特徴です。

F1マシン製造と同等の工程で製造されたカーボンモノコックは、ねじり剛性とビーム剛性が、過去のモデルと比較して大幅に向上しています。空力性能を高めるために「アクティブ・エアロダイナミクス」システムを搭載。走行状況に応じて、前後ディフューザー、アンダーパネル、スポイラーが自動的に調整され、最適な空力特性が実現されています。タイヤにはピレリP Zeroが採用されています。

心臓部となるエンジンは、F12ベルリネッタに搭載されている6,262cc自然吸気V型12気筒エンジンをベースに、最高出力800PSという驚異的なパワーを発生します。さらに、F1で培われたKERS技術を応用した「HY-KERS」システムにより、163PSのモーターアシストが加わり、システム全体の出力は963PS、トルクは900Nmを超えます。HY-KERSシステムは、マニエッティ・マレリとの共同開発による2モーター方式で、1つのモーターは7速DCTと一体設計され、もう1つのモーターはエンジンの前方に配置されています。バッテリーはサムスンとの共同開発品です。減速時には回生ブレーキとして機能し、エネルギーを効率的に回収します。ただし、バッテリーのみでの走行は不可能です。

このハイブリッドシステムにより、二酸化炭素排出量はエンツォ・フェラーリと比べて約50%削減されました。パフォーマンスは、0-100km/h加速が3秒以下(KERS使用時は2.5秒以下)、0-200km/h加速が7秒以下、0-300km/h加速が15秒以内、最高速度は350km/hを超えるなど、圧倒的な性能を誇ります。フィオラノサーキットでのラップタイムは、エンツォ・フェラーリよりも5秒以上、F12ベルリネッタよりも3秒以上速い1分20秒以下を記録しました。

販売

ラ・フェラーリの販売は、フェラーリ社および各国の現地法人が厳格な基準に基づいて選別を行いました。選別方法は非公開で、購入希望者にはジュネーブモーターショーに先立ち、非公開の内覧会が開催されました。

まとめ

ラ・フェラーリは、フェラーリの技術と伝統が凝縮された、まさに究極のスーパーカーと言えるでしょう。その稀少性、圧倒的な性能、そして革新的なハイブリッドシステムは、自動車史に燦然と輝く、名車としての地位を確立しています。

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