フェラーリ・F154

フェラーリ・F154 エンジン

フェラーリが設計し製造するF154エンジンは、ガソリン直噴のV8ツインターボエンジンであり、2013年に登場しました。このエンジンは、フェラーリおよびマセラティの自然吸気V8エンジンであるF136の後継モデルとして開発されたものです。F154は、1987年のフェラーリ・F40に搭載された従来のターボ過給エンジン以来のもので、公道用エンジンとしては重要な位置を占めています。

技術的特長

F154エンジンは、シリンダーブロックとヘッドにアルミニウムを使用し、90°のバンク角を持っています。これにより、軽量かつ高剛性な設計となっています。ターボ過給システムには、二つの並列ツインスクロール水冷ターボチャージャーが採用されており、これによりエンジンの効率と出力が向上しています。さらに、エンジンには空冷インタークーラーが搭載され、過給の際の温度管理も徹底されています。

バルブトレインは、各バンクごとに二本のカムシャフトによって管理され、各シリンダーには四本のバルブが用いられています。このシステムにより、燃焼の効率性が高まり、出力が最大限に引き出されています。また、フェラーリ車両向けにはガソリンの直接噴射と、吸気および排気側バルブの連続可変バルブタイミング機能も搭載されています。

F154エンジンの設計には、フラットプレーン クランクシャフトとドライサンプ潤滑が用いられ、エキゾーストマニホールドは長さを均一にするために複数の鋳鋼パーツを用いています。ターボチャージャーのハウジングも同様の構造で製造されています。対照的に、マセラティのバリエーションではクロスプレーンクランクシャフトとウエットサンプ潤滑が使用されており、これにより異なる特性を持たせたエンジンに仕上げられています。

適用車種

F154エンジンは、フェラーリのさまざまなモデルに搭載されています。例えば、F154 BDエンジンはエンツォ・フェラーリ博物館に展示されており、F154 CBエンジンも同様に博物館内で見ることができます。また、マセラティモデルではF154エンジンが採用されており、マセラティ モデナショールームでも見ることができます。さらに、アルファロメオのジュリア クアドリフォリオとステルヴィオ クアドリフォリオにも派生モデルとして搭載されています。

受賞歴

その性能と技術的革新性から、F154BおよびF154Cエンジンはインターナショナル エンジン オブ ザ イヤー コンテストにおいて合計14の賞を受賞しています。特に2016年から2019年まで4年連続で総合タイトルを獲得しており、さらにパフォーマンスエンジンのタイトルも併せて受賞しています。また、このエンジンは2016年にはベストニューエンジン賞も受賞しました。

F154エンジンは、その排気量に基づくカテゴリにとらわれず、新しい出力ベースの評価へとシフトしたことを受け、2019年には550～650 PSおよび650 PS以上の両方のカテゴリーで賞を受賞しました。加えて、F154Cエンジンは1999年のインターナショナル エンジン オブ ザ イヤー以来、最も重要なエンジンとしてベスト オブ ザ ベストの称号を得る栄誉もあります。

F154は、スポーツカーとしての性能だけでなく、先進的な技術を採用したエンジンとしても高く評価されています。

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