フェリセット

フェリセット：宇宙へ行った最初の猫

フェリセットは、1963年10月18日にフランスの観測ロケットによって宇宙空間に打ち上げられた、史上初の猫です。彼女の宇宙飛行は弾道飛行で、高度157kmに達し、約5分間の無重力状態を経験しました。この成功は、当時のフランスの宇宙開発競争において重要な転換点となりました。

フェリセット以前の宇宙動物たち

フェリセット以前にも、多くの動物が宇宙に送られています。有名な例としては、1957年にソ連の人工衛星スプートニク2号で地球軌道を周回した犬のライカや、1961年にアメリカのマーキュリー計画で宇宙飛行を行ったチンパンジーのハムが挙げられます。また、フランスもフェリセット以前にラットを宇宙に送っており、宇宙開発における動物実験は各国で積極的に行われていました。

任務の背景と訓練

フェリセットは、パリで捕獲された野良猫でした。フランス政府によって購入された後、他の13匹の猫と共に宇宙飛行に向けた厳しい訓練を受けました。訓練は航空医学研究教育センター（CERMA）で行われ、耐G訓練や加圧訓練などが実施されました。猫たちの頭には神経の働きを調べるための電極が取り付けられ、無重力状態が動物に与える影響を調べるための実験が行われました。フェリセットは、その穏やかな性格から実際の宇宙飛行に選ばれたと言われています。

宇宙飛行とその後

1963年10月18日午前8時9分、フェリセットは観測ロケット「ヴェロニク AGI 47」に乗り、アルジェリアのアマギールから打ち上げられました。13分間の飛行で高度157kmに到達し、無事地球に帰還しました。しかし、帰還から3ヶ月後には脳の解剖調査のために安楽死させられました。その直後にも別の猫が宇宙に送られましたが、打ち上げ時にロケットが爆発し、命を落としています。

功績と再評価

フェリセットの宇宙飛行は、フランスが宇宙開発競争に参入する上で重要な出来事でした。しかし、長らく彼女の功績は十分に評価されず、忘れ去られていました。1997年にはチャドで、1999年にはニジェールで彼女を記念した切手が発行されましたが、その中にはフェリセットをオスの猫と誤認しているものもありました。

2017年、広告代理店のクリエイティブ・ディレクターであるマシュー・サージ・ガイは、フェリセットの功績を讃える銅像を建てるためのクラウドファンディング活動を始めました。この活動は多くの支援を集め、2019年12月18日にストラスブールの国際宇宙大学に高さ1.5mの銅像が設置されました。この銅像は、地球の上に座り、宇宙を見上げているフェリセットの姿を表現しています。

フェリセットの物語は、宇宙開発の歴史における動物たちの貢献を再認識させ、その功績を未来に伝える上で重要な役割を果たしています。

関連項目

ライカ (犬)
ハム (チンパンジー)
ユーリ・ガガーリン - 史上初の有人宇宙飛行を成功させた人物

外部リンク

Purr 'n' Fur による紹介 （英語）
* Kickstarter でのキャンペーンページ （英語）

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