フェリーチェ・フィチェレッリ

フェリーチェ・フィチェレッリ (Felice Ficherelli)

フェリーチェ・フィチェレッリは、1605年8月30日にサン・ジミニャーノで誕生し、1660年3月5日にフィレンツェで亡くなったバロック期のイタリア画家です。彼の活動の多くはトスカーナ地方に集中しており、その業績は後の世代にも大きな影響を与えました。

略歴

フィチェレッリについての詳細な年譜は不明な点が多く、主に17世紀末から18世紀初めにかけての画家の伝記集を著したフィリッポ・バルディヌッチに基づいています。彼はサン・ジミニャーノで生まれた後、子供時代にフィレンツェに移りました。フィレンツェでは、トスカーナ大公フェルディナンド1世・デ・メディチの息子、カルロ・デ・メディチの支援を受けながら成長しました。カルロの元で活動していたオッターヴィオ・バルディ・ディ・ヴェルニオの助けも受けています。

フィチェレッリは、フィレンツェで名声を博していた画家、ヤコポ・ダ・エンポリの工房で学びました。1629年にはフィレンツェの美術アカデミーに入会し、1652年にはアカデミーの役員職を務めました。彼は1632年に自らのパトロンを失ったものの、彼の遺言によって作品を通じて自身の家族を支援するという形で、フィチェレッリは活動を続けることが可能となりました。彼ののんびりとした性格から、「Felice Riposo」という異名でも知られています。

1660年にフィレンツェで彼の生涯を閉じましたが、その作品は今でも多くの人々に親しまれています。

聖プラクセディスの模写

フィチェレッリの作品の一つに『聖プラクセディス』があります。当初、この作品は彼のものであると考えられていましたが、後にオランダの画家ヨハネス・フェルメールによる模写であるとの見解が示されました。この作品にはフェルメールによる署名があるとされ、イギリスの美術史家マイケル・キットソンがフィチェレッリの作品として位置づけることを提案しました。そのため、議論が続いているところです。

現在、この『聖プラクセディス』は国立西洋美術館に所蔵されており、そこの表示ではあくまで「フェルメールに帰属する」と記されていますが、真作か否かについては結論が出ていません。このように、フィチェレッリの作品は、その技術やスタイルだけでなく、他の著名な画家とのつながりによっても注目を集めています。

その他のフィチェレッリの作品

フィチェレッリの作品は、バロック時代の美術に多くの影響を与え、彼の独自のスタイルは今でも評価されています。彼の作品は宗教的テーマを持つものが多く、当時の社会の情緒や精神性を反映しています。

こうして、フィチェレッリはイタリアのバロック時代の重要な画家として、今日でも語り継がれているのです。

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