フィリッポ・バルディヌッチ
フィリッポ・バルディヌッチ（Filippo Baldinucci, 1625年6月3日 - 1696年1月10日）は、17世紀イタリアの美術界において多岐にわたる才能を発揮した人物です。画家としての活動に加え、美術理論家、そして何よりも重要な美術家たちの伝記作家として知られています。彼の著作は、当時の美術に関する貴重な資料として、今日でも高く評価されています。
バルディヌッチはフィレンツェの裕福な旧家に生まれました。若い頃から美術に興味を持ち、彫刻家のフォジーニや画家のマッテオ・ロッセッリの工房で美術を学びました。当初は肖像画家として活動していましたが、その優れた鑑定眼はすぐに評判となり、トスカーナ大公フェルディナンド2世・デ・メディチに美術鑑定家として仕えることになります。この頃から、彼は単なる画家としてだけでなく、美術の専門家としての地位を確立していきました。
メディチ家の庇護のもと、バルディヌッチは美術品収集家として知られる枢機卿レオポルド・デ・メディチに仕え、絵画の整理やコレクションの拡充に尽力しました。レオポルドのコレクションは、後にウフィツィ美術館の基礎となる重要なもので、バルディヌッチの貢献は非常に大きかったと言えるでしょう。メディチ家での活動を通じて、彼は美術史に関する知識を深め、著作活動へと繋げていくことになります。
バルディヌッチの最も重要な業績の一つは、フィレンツェの画家たちの伝記集『チマブーエ以降の素描美術家たちの消息』です。この作品は、13世紀の画家チマブーエから始まるフィレンツェの美術家たちの生涯を詳細に記録したもので、ジョルジョ・ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』以来の重要な伝記集として位置づけられています。また、同時代の美術史家であるジュリオ・マンチーニ、ジョヴァンニ・バリオーネ、カルロ・チェーザレ・マルヴァジア、ラファエル・ソプラーニらの著作と並び、美術史研究における重要な資料となっています。
この『美術家たちの消息』は全6巻で構成されていますが、バルディヌッチの存命中に全てが出版されたわけではありません。1681年に第1巻、1686年に第2巻、1688年に第4巻第2部が出版され、残りの巻は彼の死後、1702年と1728年に出版されました。彼の死後、息子であるフランチェスコ・サヴェリオ・バルディヌッチが父親の仕事を引き継ぎ、出版を完成させました。
また、バルディヌッチは『絵画用語事典』も著しており、これは美術用語を体系的にまとめた貴重な文献です。これらの著作は、後の美術史研究に大きな影響を与え、バルディヌッチは美術史家としての確固たる地位を築きました。
1685年に結婚し、5人の息子をもうけました。そのうち3番目の息子のフランチェスコ・サヴェリオは、父の仕事を手伝い、死後の著作出版に大きく貢献しました。バルディヌッチは1696年に亡くなるまで、美術に関する活動を続けました。
『絵画用語事典』 (Vocabolario toscano dell’arte del disegno) - 1681年
『絵画に関するいくつかの質問に答えるヴィンチェンツォ・カッポーニへの手紙』(Lettera a Vincenzo Capponi nella quale si risponde ad alcuni quesiti in materia di pittura) - 1681年
『チマブーエ以降の素描美術家たちの消息』(Notizie de’ professori del disegno da Cimabue in qua) - 1681年 - 1728年
『ヴェリア：シンチェーロ・ヴェーリの対話形式による絵画の様々な問題の議論と解決』(La Veglia. Dialogo di Sincero Veri in cui si disputano e si sciolgono varie difficoltà pittoriche) - 1684年
* 『銅版画術の始まりと進歩、および同専門職の最も優れた巨匠たちの生涯』(Cominciamento e progresso dell’arte dell’intagliare in rame colle vite di molti de’ più eccellenti maestri della stessa professione) - 1686年
フィリッポ・バルディヌッチは、画家、美術鑑定家、そして美術史家として、17世紀のイタリア美術界において重要な役割を果たしました。彼の残した著作は、当時の美術に関する貴重な資料であり、今日においても美術史研究に欠かせないものとなっています。
生い立ちと初期の活動
バルディヌッチはフィレンツェの裕福な旧家に生まれました。若い頃から美術に興味を持ち、彫刻家のフォジーニや画家のマッテオ・ロッセッリの工房で美術を学びました。当初は肖像画家として活動していましたが、その優れた鑑定眼はすぐに評判となり、トスカーナ大公フェルディナンド2世・デ・メディチに美術鑑定家として仕えることになります。この頃から、彼は単なる画家としてだけでなく、美術の専門家としての地位を確立していきました。
メディチ家との関わり
メディチ家の庇護のもと、バルディヌッチは美術品収集家として知られる枢機卿レオポルド・デ・メディチに仕え、絵画の整理やコレクションの拡充に尽力しました。レオポルドのコレクションは、後にウフィツィ美術館の基礎となる重要なもので、バルディヌッチの貢献は非常に大きかったと言えるでしょう。メディチ家での活動を通じて、彼は美術史に関する知識を深め、著作活動へと繋げていくことになります。
著作活動
バルディヌッチの最も重要な業績の一つは、フィレンツェの画家たちの伝記集『チマブーエ以降の素描美術家たちの消息』です。この作品は、13世紀の画家チマブーエから始まるフィレンツェの美術家たちの生涯を詳細に記録したもので、ジョルジョ・ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』以来の重要な伝記集として位置づけられています。また、同時代の美術史家であるジュリオ・マンチーニ、ジョヴァンニ・バリオーネ、カルロ・チェーザレ・マルヴァジア、ラファエル・ソプラーニらの著作と並び、美術史研究における重要な資料となっています。
この『美術家たちの消息』は全6巻で構成されていますが、バルディヌッチの存命中に全てが出版されたわけではありません。1681年に第1巻、1686年に第2巻、1688年に第4巻第2部が出版され、残りの巻は彼の死後、1702年と1728年に出版されました。彼の死後、息子であるフランチェスコ・サヴェリオ・バルディヌッチが父親の仕事を引き継ぎ、出版を完成させました。
また、バルディヌッチは『絵画用語事典』も著しており、これは美術用語を体系的にまとめた貴重な文献です。これらの著作は、後の美術史研究に大きな影響を与え、バルディヌッチは美術史家としての確固たる地位を築きました。
その他の活動と晩年
1685年に結婚し、5人の息子をもうけました。そのうち3番目の息子のフランチェスコ・サヴェリオは、父の仕事を手伝い、死後の著作出版に大きく貢献しました。バルディヌッチは1696年に亡くなるまで、美術に関する活動を続けました。
バルディヌッチの著作リスト
『絵画用語事典』 (Vocabolario toscano dell’arte del disegno) - 1681年
『絵画に関するいくつかの質問に答えるヴィンチェンツォ・カッポーニへの手紙』(Lettera a Vincenzo Capponi nella quale si risponde ad alcuni quesiti in materia di pittura) - 1681年
『チマブーエ以降の素描美術家たちの消息』(Notizie de’ professori del disegno da Cimabue in qua) - 1681年 - 1728年
『ヴェリア：シンチェーロ・ヴェーリの対話形式による絵画の様々な問題の議論と解決』(La Veglia. Dialogo di Sincero Veri in cui si disputano e si sciolgono varie difficoltà pittoriche) - 1684年
* 『銅版画術の始まりと進歩、および同専門職の最も優れた巨匠たちの生涯』(Cominciamento e progresso dell’arte dell’intagliare in rame colle vite di molti de’ più eccellenti maestri della stessa professione) - 1686年
結論
フィリッポ・バルディヌッチは、画家、美術鑑定家、そして美術史家として、17世紀のイタリア美術界において重要な役割を果たしました。彼の残した著作は、当時の美術に関する貴重な資料であり、今日においても美術史研究に欠かせないものとなっています。
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