フェルディナント・オリヴィエ

フェルディナント・オリヴィエ（1785年4月1日 - 1841年2月11日）は、19世紀のドイツを代表する画家の一人です。彼は、風景画、宗教画、肖像画など幅広いジャンルの作品を手がけました。

オリヴィエは、ドイツのデッサウで生まれました。父は、スイス出身の教育者であり、母はオペラ歌手でした。彼には、同じく画家となった弟のフリードリヒとハインリヒがいました。オリヴィエは、父が教鞭をとっていた学校で、カール・ヴィルヘルム・コルベやヨハン・クリスティアン・ハルデンヴァンクといった画家から美術教育を受けました。

1802年から1803年にかけて、オリヴィエはベルリンで木版画の技術を学びました。この頃、彼は画家になることを決意し、1804年には弟のハインリヒとともにドレスデンに移りました。ドレスデンでは、クロード・ロランやヤーコプ・ファン・ロイスダールといった17世紀の風景画家の作品を模写して修行を重ねました。また、ドレスデンの画家であるヤコブ・ヴィルヘルム・メッハウやカール・ルートヴィヒ・カーツからも指導を受けました。当時のドレスデンでは、ドイツロマン主義を代表する画家であるフィリップ・オットー・ルンゲやカスパー・ダーヴィト・フリードリヒが活躍しており、オリヴィエは彼らの影響も受けたと考えられます。

1807年、オリヴィエは政治家アウグスト・フォン・ローデに雇われ、外交使節団の一員としてパリに赴任しました。彼は1810年までパリに滞在し、美術だけでなく、当時の社会や文化にも触れる機会を得ました。

1811年、オリヴィエはウィーンに移り住みました。ウィーンでは、「ナザレ派」の画家たちと交流のあったヨーゼフ・アントン・コッホと知り合います。コッホの新しい風景画のスタイルは、オリヴィエに大きな影響を与えました。1812年、オリヴィエは3人の子供を持つ未亡人と結婚しました。1816年には、ウィーンで「聖ルカ兄弟団」、通称「ナザレ派」に加入しました。しかし、彼はナザレ派の画家たちのようにローマを訪れることはありませんでした。ナザレ派の画家、フィリップ・ファイトと共に旅行をしています。

1830年、オリヴィエはミュンヘンに移り、ペーター・フォン・コルネリウスの推薦でミュンヘン美術院の事務長に就任しました。1833年には教授に昇進し、後進の育成にも尽力しました。

オリヴィエの作品は、初期の風景画から、ナザレ派加入後の宗教的なテーマの作品へと変化していきました。彼の風景画は、自然の細部を緻密に描写する一方で、ロマン主義的な感情を表現しているのが特徴です。宗教画では、聖書の物語を感動的に描いています。

オリヴィエは、生涯を通じて精力的に活動し、多くの優れた作品を残しました。彼の作品は、現在でも多くの人々に愛されています。彼は、ドイツロマン主義絵画の発展に貢献した重要な画家の一人として、美術史にその名を刻んでいます。

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