フェンダー・ジャガー

ジャガー：フェンダー社の伝説的エレキギター

1962年、フェンダー社は最高級モデルとしてエレクトリックギター「ジャガー」を発表しました。ジャズマスターと共通のトレモロユニットを持ちながらも、ボディシェイプやショートスケールネック、専用ピックアップなど、細部において独自の仕様が盛り込まれています。そのサウンドは、ジャズマスターよりもエッジが効いた、歯切れの良い鋭いトーンが特徴です。

特徴的なサウンドとデザイン

ジャガーのサウンドを特徴づけるのは、その切れ味鋭いトーンです。これは、専用のピックアップと回路設計によるものです。また、ボディは特徴的なオフセット・ウェストを採用しており、独特の演奏感をもたらします。発売当初は、ブリッジの前にパッド式ミュートが搭載されていましたが、演奏中にミュートを切り替えると音程が上がるという欠点があったため、多くのプレイヤーが取り外して使用していました。

人気と衰退、そして復活

1960年代前半には、サーフィンミュージックやホットロッドミュージックの隆盛と共に、ジャガーは人気機種となりました。ザ・ビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンを始め、多くのミュージシャンが愛用しました。しかし、弦振動がボディに伝わりにくいブリッジやトレモロの構造が、サステインの不足という弱点につながり、ロック音楽シーンにおいて伸びのあるサウンドが求められるようになるにつれ、人気は徐々に衰え、1975年には製造中止となりました。

1986年にはフェンダー・ジャパンがジャガーをリイシュー。1990年代初頭にはニルヴァーナのカート・コバーンが使用したことで、オルタナティブロックやグランジシーンで再び脚光を浴び、多くのミュージシャンが彼のモデルを参考に改造を施しました。2000年にはフェンダーUSAでもリイシューが開始され、現在に至るまで、様々なバリエーションがリリースされています。

多様なバリエーションと現代のジャガー

フェンダー社は、ジャガーの復刻モデルだけでなく、ハムバッカーピックアップ搭載モデルや、ムスタングとの合体モデル「ジャグスタング」、ジャズマスターとの合体モデル「ジャグマスター」など、様々なバリエーションをリリースし続けています。これらを通して、ジャガーは時代を超えて進化し続け、現代の音楽シーンでも重要な存在感を示しています。

ジャガーを愛用した著名なミュージシャン

ジャガーは、多くの著名なミュージシャンに愛用されてきました。その中には、以下のアーティストが含まれます。

カール・ウィルソン（ザ・ビーチ・ボーイズ）
ミック・ジャガー（ザ・ローリング・ストーンズ）
サーストン・ムーア（ソニック・ユース）
カート・コバーン（ニルヴァーナ）
ジ・エッジ（U2）
ジョン・フルシアンテ（レッド・ホット・チリ・ペッパーズ）
ケヴィン・シールズ（マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン）
ジョニー・マー（元ザ・スミス）
アレックス・ターナー（アークティック・モンキーズ）
寺内タケシ
加瀬邦彦（ザ・ワイルドワンズ）
そして多くの現代ミュージシャン

これらのミュージシャンは、ジャガーの独特のサウンドと演奏性を活かし、様々な音楽ジャンルで活躍してきました。ジャガーの歴史は、ロック、ポップス、オルタナティブなど、音楽史における重要な出来事と深く結びついています。

まとめ

ジャガーは、発売以来、その独特のサウンドとデザインで多くのミュージシャンを魅了し続けてきた、フェンダー社を代表するエレクトリックギターです。製造中止を経て復活を遂げ、現在も進化を続けています。その歴史と魅力は、これからも多くのプレイヤーに受け継がれていくでしょう。

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