フェートノーザン

フェートノーザン：ダート界の王者、そしてその短い生涯

フェートノーザンは、1980年代、中央競馬と地方競馬の交流競走がまだ発展途上であった時代に、その名を轟かせたダートの強豪馬です。数々の重賞競走を制覇し、公営競馬の雄として称えられました。主戦騎手は安藤勝己騎手。父はアメリカの名馬スワップスの血を引くフェートメーカーで、地方競馬で活躍した馬を多く輩出した種牡馬でした。

中央競馬時代：華々しいデビューと苦悩

1986年3月、フェートノーザンは阪神競馬場でのダート競走でデビュー。7馬身差の圧勝劇で鮮やかに初勝利を飾ります。その後、芝競走で苦戦を強いられますが、ダートに戻ると持ち前の能力を発揮し、勝利を重ねます。オープン入りを果たすと、重賞初挑戦となるウインターステークスでは、のちの最優秀ダートホース・ライフタテヤマに惜しくも敗れ2着。しかし、続く平安ステークスを制し、古馬としての飛躍が期待されました。しかし、その後、フレグモーネによる出走取り消しや帝王賞での大敗など、幾多の苦難に見舞われます。持病の裂蹄の悪化により、笠松競馬場の外厩で休養することとなります。この時、笠松競馬場から移籍の打診を受けました。中央競馬では活躍できるダート競走が限られていたため、フェートノーザンは新たな活躍の場を求め、笠松競馬場への移籍を決断します。

笠松競馬時代：地方競馬での活躍と頂点への挑戦

1987年夏頃、フェートノーザンは笠松競馬場に移籍しました。移籍当初は怪我の影響で歩くことすら困難でしたが、関係者の懸命な治療とケアにより、半年後には再び走れるまでに回復します。移籍後、連勝を重ね、名古屋大賞典ではワカオライデンと激しく競り合います。東海ゴールドカップでは斤量差に恵まれましたが、ワカオライデンを下し勝利しました。移籍1年目は10月以降の4戦で3勝を挙げました。オグリキャップが翌年に中央競馬へ移籍したため、両者の対決は実現しませんでした。6歳となったフェートノーザンは、着実に勝利を重ねますが、先頭に立つと内にモタれるという癖がありました。しかし、オパール特別を境にレース戦略が変更され、道中で抑えることで、直線での爆発的な瞬発力を発揮するようになりました。このスタイル変更により、安定した成績を残すようになりました。東海菊花賞を制し、臨んだ全日本サラブレッドカップでは大井の名馬イナリワンを破り、東海ゴールドカップでも連覇を達成します。年末の帝王賞では後方からレースを進め、直線で一気に抜け出し、2着に2馬身半差をつけて圧勝。日本のダート界の頂点に立ちました。その活躍から、種牡馬入りが決定。ブリーダーズゴールドカップ、全日本サラブレッドカップなど、全国の交流重賞を転戦するプランが発表されました。しかし、ローレル争覇で勝利後、夏バテにより体調を崩し、ブリーダーズゴールドカップでは苦しい勝利を収めます。そして、地元笠松競馬場で行われた全日本サラブレッドカップで、左前種子骨骨折を発症し競走を中止。その後、感染症を併発し、容体が急変。懸命の治療も虚しく、1988年12月12日、安楽死処分となりました。

血統とその後

フェートノーザンの全弟、フエートキングも東海公営競馬で活躍しました。フェートノーザンは、ダート界に輝かしい足跡を残した名馬として、多くの競馬ファンに記憶されています。その短い生涯は、数々のドラマと感動、そして惜別の思いを私たちに与えてくれました。彼の偉大な功績は、これからも語り継がれていくでしょう。

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