フエダイ科

フエダイ科（Lutjanidae）について

フエダイ科は、スズキ亜目に属する中型から大型の肉食魚のグループです。熱帯や亜[[熱帯]]の沿岸海域を中心に、100種類以上が確認されています。

特徴

フエダイ科の魚は、スズキ亜目の中では大型の種類が多く、成魚の全長は数十センチメートルから、中には1メートルを超えるものもいます。体型は様々で、いわゆる「タイ」のような体高のあるものから、サバのように細長いものまで存在します。尾びれの形状も、截形（ほぼ三角形）のものとV字型に二叉したものが見られます。口は大きく、顎には牙のような犬歯が並んでいるのが特徴です。

「フエダイ」という名前は、フエダイ属の魚の口が前方に突き出て、まるで口笛を吹いているように見えることに由来します。フエフキダイ科の魚と見た目が似ていますが、フエダイ属は頭部に鱗が多いこと、口の中が赤くないこと、臼歯がなく牙状の犬歯があることなどで区別できます。ただし、フエダイ科の魚すべてが口が突き出ているわけではありません。

分布

フエダイ科の魚は、全世界の熱帯・亜[[熱帯]]海域に広く分布しています。日本では、暖流の影響を受ける本州中部以南で見られ、特に南西諸島では多くの種類が生息しています。生息環境も多様で、浅い海の岩礁やサンゴ礁から、水深数百メートルの深海まで、さまざまな場所に生息しています。また、一部の種類は汽水域を好み、ゴマフエダイやウラウチフエダイのように、純淡水域にまで入り込むものもいます。

食性

フエダイ科の魚は、基本的に肉食性で、小魚や甲殻類などの小動物を幅広く捕食します。しかし、一部の種はプランクトンを主食としています。

利用

フエダイ科の魚は、ほぼ全種が食用とされており、重要な漁業資源となっています。沿岸部では、釣りや刺し網、定置網などで漁獲され、深海性の種類は、釣りや底延縄などで漁獲されます。特に南西諸島では、沿岸性の種類が多く水揚げされ、市場にも流通しています。身は白身で、さまざまな料理に利用されます。ただし、バラフエダイやアオチビキなどでは、シガテラ中毒が報告されているため、大型個体を調理する際には注意が必要です。

また、サンゴ礁に生息する種には、体色が鮮やかなものが多く、水族館などで飼育されています。ただし、大型種が多いため、個人での飼育にはあまり向いていません。

下位分類

現生種は4亜科、17属、113種に分類されます。その中でもフエダイ属が73種と最も多くの種を含んでいます。スズキ亜目の中では、ハチビキ科やタカサゴ科が近縁であり、タカサゴ科はかつてフエダイ科の亜科として扱われていたこともあります。mtDNAを用いた分子系統解析では、イトヒキフエダイ亜科とハマダイ亜科が、タカサゴ科を含む他の亜科の姉妹群であることが示されています。

アメフエダイ亜科（Apsilinae）

口が比較的小さく、浅海から深海にかけて生息しています。

アオダイ属（Paracaesio）：アオダイ、ウメイロなど9種
Apsilus属：大西洋産2種
A. dentatus、A. fuscus
キビレフエダイ属（Lipocheilus）：キビレフエダイ
Parapristipomoides属：Scalemouth jobfish

ハマダイ亜科（Etelinae）

体は比較的前後に細長く、尾びれが大きく二叉するのが特徴です。大きな口と頑丈な顎を持ち、水深数百メートルの深海に生息する種類が多いですが、イシフエダイとアオチビキは沿岸浅海性です。

ヒメダイ属（Pristipomoides）：ヒメダイ、ハナフエダイなど11種
ハマダイ属（Etelis）：ハマダイ、ハチジョウアカムツなど4種
イシフエダイ属（Aphareus）：イシフエダイ、オオグチイシチビキの2種
アオチビキ属（Aprion）：アオチビキ
バケアカムツ属（Randallichthys）：バケアカムツ

フエダイ亜科（Lutjaninae）

フエダイ属を含む、最も大きなグループです。浅海に多く、一部は汽水域や純淡水域にも生息します。

フエダイ属（Lutjanus）：フエダイ、ゴマフエダイ、ウラウチフエダイなど68種
マダラタルミ属（Macolor）：ホホスジタルミ、マダラタルミの2種
セダカタカサゴ属（Pinjalo）：セダカタカサゴ、チカメタカサゴの2種
ベニフエダイ属（Rhomboplites）：ベニフエダイ
Hoplopagrus属：Mexican barred snapper
Ocyurus属：Yellowtail snapper

イトヒキフエダイ亜科（Paradichthyinae）

インド太平洋のサンゴ礁に生息する2属2種のみが分類されます。第二背鰭と臀鰭の軟条が長く、特にイトヒキフエダイでは、その名の通り、第二背鰭の軟条数本が糸のように伸びます。

イレズミフエダイ属（Symphorichthys）：イレズミフエダイ
イトヒキフエダイ属（Symphorus）：イトヒキフエダイ

参考文献

岡村収・尼岡邦夫監修 山渓カラー名鑑『日本の海水魚』(フエダイ科解説: 岩槻幸雄)
藍澤正宏ほか『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』
中坊徹次『小学館の図鑑Z 日本魚類館』

関連項目

魚類
海水魚
淡水魚

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