フォッカー D.VIII

フォッカー D.VIII

フォッカー D.VIIIは、第一次世界大戦の終末期にドイツのフォッカー社によって設計された単発のレシプロ式戦闘機です。この機体は、最高速度が200km/hを超えた初のフォッカー社製機でもありましたが、製造数が限られていたため、戦争の終結時にはその運用はごく少数にとどまりました。

この機体は、最初はフォッカー E.Vという名称で知られていましたが、ドイツ帝国の戦闘機の識別番号の統一に伴ってD.VIIIと改名されました。開発の背景には、フォッカー社が手がけた三葉式戦闘機Dr.Iの下翼を取り外し、試験的に良好な性能を示した実験機の存在があります。これにより、大幅な設計変更が施されD.VIIIが誕生しました。

D.VIIIの設計は、胴体や尾翼、エンジンに関してはDr.Iと共通していますが、主翼は木製の一枚翼で、片側に4本の支柱で支えられていました。また、方向舵の前方には小型の垂直安定板が設置されています。エンジン出力は他の機体に比べて低いものの、空気抵抗を削減したことで速度性能を向上させ、最高速度は202km/hに達しました。さらに、上昇性能においてもDr.IやD.VIIと比肩するものでありました。1918年5月に行われた初の審査では、その優れた性能が認められ、軍により量産が決定されました。

D.VIIIは1918年6月から実際の運用が始まりましたが、主翼の破損に起因する墜落事故が頻発したため、一時的に生産が中断される事態が発生しました。その後、生産は再開されましたが、ドイツが敗北に向かう中での再開であったため、実際に部隊に配備される機体は限られました。また、連合軍との空戦の機会もほとんどなく、終戦を控えた時期にはわずか400機程度の生産にとどまりました。

運用国

D.VIIIは、ドイツ帝国の空軍に381機が配備され、その戦争終了前の期間に主要な運用をされました。また、その後はオランダやソビエト連邦、ベルギー、ポーランドなどに売却または捕獲され、運用されていました。オランダではアントニー・フォッカーが扱った20機が1919年に配備され、ソビエト連邦においてはポーランド・ソビエト戦争で1機が捕獲され1920年代の中ごろまで使用されました。

スペック

D.VIIIの具体的なスペックは以下の通りです。

• - 乗員: 1名
• - 全長: 5.86 m
• - 全高: 2.60 m
• - 翼幅: 8.34 m
• - 翼面積: 10.7 m²
• - 最大離陸重量: 605 kg
• - 動力: オーパーウルゼル UII、110 hp × 1

性能

• - 最大速度: 202 km/h
• - 航続距離: 270 km
• - 実用上昇限度: 6,000 m

武装

• - 7.7mm機関銃 × 2

このようにフォッカー D.VIIIは、その革新的な設計と優れた性能により、当時の戦闘機の中でも特筆すべき存在でした。しかし、運用期間が短かったことが、後世における評価に影響を与える要因となっています。

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