フォティス・コントグルー

フォティス・コンドグルー：ビザンティン美術復興の先駆者

フォティス・コンドグルー（Φώτης Κόντογλου, 1895年 - 1965年）は、ギリシャの作家、画家、そしてイコン画家として、20世紀のギリシャ文化に大きな足跡を残しました。彼は、正教会のイコンにおけるビザンティン様式の復興運動の先駆者として知られています。

生涯

本名フォティオス・アポストレリスとして、コンドグルーはアイヴァリで生まれました。父ニコラオス・アポストレリスと母デスピナ・コンドグルーのもと、彼は幼少期を叔父であり修道院長であったステファノス・コンドグルーに育てられました。修道院での生活と漁師たちとの交流は、彼の芸術観に大きな影響を与えました。

1913年、コンドグルーはアテネ芸術学校に入学し、芸術の基礎を学びました。その後、スペイン、フランス、ポルトガル、アンゴラなど、各地を旅し、様々な文化に触れました。パリでの生活を経て小アジアに戻り、1922年の事件で難民としてギリシャへ帰国することになります。1923年にはアトス山の修道院でビザンティンイコンの技法を研究し、その後の彼の芸術活動の基盤を築きました。1925年、彼は同じくアイヴァリ出身のマリア・ハチカンブーリと結婚しました。

1933年、エジプト政府からの招聘を受けましたが、コンドグルーはアテネに留まり、アテネ大学で絵画の指導にあたりました。彼の教え子からは、後にギリシャの近代美術を担う重要な画家たちが輩出されました。

芸術

コンドグルーの作品は、パリ在住時代から注目を集めました。クヌート・ハムスンの小説『飢え』の挿絵で賞を獲得し、自著『ペドロ・カザス』の挿絵によって名声を確立しました。

彼は非常に多作な芸術家であり、ビザンティン時代からのイコンの伝統を再導入することに尽力しました。彼の作品は宗教画にとどまらず、広い範囲に及びましたが、その根底には常に正教徒としての信仰がありました。ミストラスのペリヴレプトス教会のフレスコ画修復にも携わり、ギリシャ各地の教会でフレスコ画を制作しました。その中には、アテネのパナギア・カプニカレア聖堂のフレスコ画や、コンスタンディヌーポリ総主教たちの記念碑的なフレスコ画も含まれます。

ヤニス・ツァルーヒスやニコス・エンゴノプーロスといった画家たちと共に、コンドグルーは自宅の壁に絵を描き、共同で作品を制作しました。これらの作品は現在、アテネ国立美術館で鑑賞することができます。

また、コンドグルーは文学作品や随筆も数多く残しており、多才な才能を発揮しました。

フォティス・コンドグルーは、ビザンティン美術の復興に貢献しただけでなく、後進の育成にも尽力し、ギリシャの文化と芸術に多大な影響を与えた人物として、今もなお高く評価されています。

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