フォトタイムス

フォトタイムス（PHOTO TIMES）

フォトタイムスは、1924年3月に創刊され、1941年まで発行されていた日本の写真雑誌です。この雑誌は、オリエンタル写真工業企画宣伝課の一部として設立されたフォトタイムス社から刊行されており、当時の日本において新しい写真の動向を紹介し、写真文化の発展に大きく寄与しました。創刊当初の編集主幹は木村専一が務め、彼の指導のもと多くの新進気鋭の写真家や作家が集まりました。

雑誌の特長と内容

フォトタイムスは、特に1940年代前半において、欧米の先端的な写真表現や新興写真に焦点を当てていました。1929年3月から始まった「モダーン・フォトセクション」では、欧米の新しい写真のトレンドが紹介され、日本国内の写真家たちに多大な影響を与えました。このコーナーを通じて、新興写真の代表的な担い手たちが多く登場し、その後、木村が1930年に設立した新興写真研究会の基盤ともなりました。

1931年には、渡辺義雄が編集に加わり、彼もまたフォトタイムスの発展に貢献しました。さらに、同年から1932年にかけて、木村が他の数名と共に欧米の写真状況を視察し、バウハウスの訪問も含まれていました。この視察の結果、300点以上の重要な写真作品がフォトタイムスに掲載され、それによって国内の写真愛好者にも新しい視点が提供されました。

1932年には、渡辺義雄の代表的なシリーズ「カメラ・ウヮーク」が連載されており、このシリーズも多くの読者の支持を集めました。木村専一に代わり、1933年からは田村榮が編集長としてその活動を引き継ぎ、1940年12月まで続きました。戦時中には雑誌の統廃合が進み、1941年からは『報道写真』に統合され、残念ながら戦後は復刊されることはありませんでした。

対象読者と掲載内容

フォトタイムスは、アマチュア向けの雑誌ではなく、むしろプロの写真家、特に営業写真家を対象とした雑誌であり、そのために技術やノウハウを紹介する記事はアサヒカメラに比べると少なめでした。しかし、海外の写真動向については非常に積極的に取り扱っており、新興写真に限らず、前衛的な作品や報道写真も数多く取り上げていました。1930年代末には内容が戦争写真に移行する傾向が見られましたが、前衛的な写真への関心も持ち続けていました。

そのフォーマットも時代と共に変遷しました。創刊時には菊判であったものの、1936年1月号からは「ライフ判」、さらに1937年1月号からは四六倍判へと変更されました。

フォトタイムスは、日本の写真文化における重要な雑誌であり、その影響は現在も多くの写真家や愛好者に受け継がれています。

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