フォトン (人工衛星)

フォトンの概要

フォトン（ロシア語: Фотон、「光子」の意味）は、1980年代からソビエト連邦およびロシアによって運用されている無人人工衛星シリーズです。主な目的は、微小重力環境を利用した物質科学実験を行うことで、宇宙空間での様々な研究に貢献しています。

設計の特徴

フォトンは、その基本設計において有人宇宙船ボストークと共通の構造を持っています。全長約6.2メートル、重量約6トンという規模の無人宇宙船であり、機械船、カプセル、装備ブロックの3つの主要な区画で構成されています。特に、直径2.3メートルの球形カプセルは、ボストークでは宇宙飛行士の帰還に使用されたものですが、フォトンでは実験結果を地球に持ち帰るために利用されています。カプセルの内部容積は4.7立方メートルで、最大700kgの実験機器を搭載することが可能です。

電力供給に関しては、化学電池を使用しており、太陽電池パネルは装備されていません。そのため、軌道上での活動期間は通常2週間程度ですが、ミッションの内容によって多少の変動があります。2005年以降に打ち上げられた改良型のフォトンMシリーズでは、積載量や電力供給能力が向上しており、2014年には太陽光発電パネルを搭載したM4が登場し、軌道上での滞在期間が最大6ヶ月に延長されました。

運用と歴史

フォトンの運用は1985年に開始され、1992年まで毎年1機が打ち上げられました。その後、打ち上げ頻度は低下しましたが、現在も運用は継続されています。初期の打ち上げはプレセツク宇宙基地から行われていましたが、フォトンM2以降はバイコヌール宇宙基地が使用されています。打ち上げにはソユーズロケットが用いられています。

当初はソ連・ロシアの計画による実験が行われていましたが、1991年のフォトン7号では欧州宇宙機関（ESA）の実験装置が初めて搭載され、それ以降、ESAは多くの実験を提供しています。また、ロシアはフォトンに類似した生物学実験衛星「ビオン」を運用していましたが、ビオン計画の終了に伴い、フォトンで生物学実験を扱う機会が増えています。

2002年には、改良型であるフォトンM1が初めて打ち上げられましたが、エンジンの不調によりロケットが墜落し、地上で死傷者が出るという事故が発生しました。しかし、2005年に打ち上げられたフォトンM2で、フォトンMシリーズは最初の成功を収めました。

名称に関する混乱

フォトン3号までは「コスモス衛星」として打ち上げられていました。正式に「フォトン」の名が使われたのは4号機からです。そのため、4号機をフォトン1号とみなす主張もあり、名称に混乱が見られます。ロシアはコスモス時代のフォトンにも遡って公式に1-3号の名称を与え、ESAもこの命名規則を採用しています。

参考文献

（具体的な参考文献の記載は省略）

関連項目

関連する宇宙機として、以下のようなものが挙げられます。

ボストーク
ボスホート
ゼニット (人工衛星)
* ビオン

もう一度検索