フォルクスワーゲン・ゴルフV

フォルクスワーゲン ゴルフV：進化したハッチバックの傑作

2004年、フォルクスワーゲンはゴルフシリーズの5代目モデル、ゴルフV（ゴルフ5）を発表しました。このモデルは、先代からの正常進化でありながら、走行性能、品質、燃費効率において大きな進歩を遂げたモデルとして知られています。

デザインとボディ

ゴルフVは、先代と比較して全長が50mm、全幅が25mm、全高が30mm拡大し、ホイールベースも60mm延長されました。これにより、室内空間、特に後部座席の足元スペースが大幅に広がり、居住性が向上しています。ボディ剛性も向上し、操縦安定性の向上が実現しています。エクステリアデザインは、特徴的なツインサーキュラーヘッドライトや、ボディ同色または大型のワッペングリル（GTIやGTグレード）、切れ上がったボンネットラインなどが先代からの識別点となっています。

エンジンとトランスミッション

ゴルフVでは、全車に直噴式FSIエンジンを搭載。モデルライフ後半には、ターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせたTSIエンジンも追加されました。トランスミッションは従来の4速ATから6速ATへと進化し、さらにデュアルクラッチトランスミッションであるDSG（湿式6速、一部グレードでは乾式7速）が採用され、燃費効率と動力性能の両立が図られました。ダウンサイジング戦略の一環として、一部モデルでは小排気量化が行われ、過給機によって出力不足を補っています。

シャーシとサスペンション

リアサスペンションは、先代までのトーションビーム方式からマルチリンク方式に変更され、操縦安定性が向上しました。また、ラゲッジスペースも拡大されています。パワーステアリングは油圧式から電動式に変更され、燃費向上に貢献しています。安全面では、後席中央の3点式シートベルトが標準装備となりました。アクセルペダルはオルガン式が採用され、運転操作性も向上しています。

グレードバリエーション

ゴルフVは、ベーシックモデルのE、量販モデルのGLi、スポーティなGT、高級仕様のGTX、そして高性能グレードのGTIとR32など、多彩なグレードが用意されました。GTIは伝統的なホットハッチとして、2.0Lターボエンジンと6速DSGの組み合わせにより、優れた走行性能を実現しました。R32は3.2L V6エンジンと4輪駆動システムを組み合わせ、ゴルフシリーズの頂点に立つモデルとして人気を博しました。モデルライフ中には、TSIエンジン搭載のGT TSI、TSI Comfortline、TSI Trendlineといったグレードも追加されています。また、限定車や特別仕様車も数多く発売されました。

派生モデル

ゴルフVをベースとした派生モデルも豊富に存在しました。室内空間を拡大したゴルフプラス、クロスオーバー風のクロスゴルフ、ステーションワゴンのゴルフヴァリアント、7人乗りミニバンのトゥーラン、電動格納式ハードトップ搭載のオープンカーイオスなど、ユーザーのニーズに合わせた様々なボディタイプが提供されました。中でも、GTI W12-650は、650馬力のW12エンジンを搭載したコンセプトカーとして注目を集めました。

受賞

ゴルフVは、その優れた性能と魅力的なデザインから、日本カー・オブ・ザ・イヤーの輸入車部門を受賞しました。これはゴルフシリーズとして初の快挙であり、その高い評価を示すものです。

まとめ

ゴルフVは、デザイン、走行性能、燃費効率、そして多様なグレード展開など、多くの点で進化を遂げたモデルでした。日本市場でも高い人気を博し、フォルクスワーゲンゴルフの歴史において重要な位置を占めるモデルと言えるでしょう。その後のゴルフシリーズの進化にも大きな影響を与えた、傑作ハッチバックと言えるでしょう。

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