フォード・プローブ

フォード・プローブ：時代を彩ったスポーティクーペ

フォード・プローブは、アメリカの自動車メーカー、フォードが1980年代後半から1990年代にかけて販売していたクーペ型の乗用車です。このモデルは、フォードが当時提携関係にあったマツダとの共同開発によって生まれました。

フォードは、プローブという名前を1970年代から空力デザインを追求したコンセプトカーシリーズに用いていました。「プローブI」から「プローブV」までのモデルが存在し、これらのデザイン要素が後の市販モデルに影響を与えたと言われています。

初代プローブは、1988年 8月に1989年モデルとして登場しました。これは、フォードのEXP（北米）およびカプリ（欧州）の後継モデルとして位置づけられています。マツダのGD型カペラC2（北米名：初代MX-6）をベースとし、マツダがエンジニアリングを、フォードが内外装のデザインを担当しました。

- ボディスタイル: リアハッチを持つ3ドアクーペで、全長4520mm、全幅1740mm、全高1315mmというワイド＆ローなプロポーションが特徴です。
- デザイナー: チーフデザイナーはフォードの日本人デザイナー、齋藤利明氏です。
- エクステリア: ヒドゥンピラー処理、ラップアラウンドウィンドウ、リトラクタブルヘッドライトなど、当時のフォード車としては先進的なデザインが採用されました。Cd値は0.304と、当時としては非常に低い数値を実現していました。
- インテリア: ドア開閉と連動する電動シートベルト、デジタルメーター、バケットシートなどが採用され、スポーティな雰囲気を演出。水平基調のインパネやT字型ステアリングホイールなど、オーソドックスなデザインも取り入れられています。
- シート: 4シーターですが、リアシートは居住性に乏しく、2+2シーターとしての性格が強いです。

- 日本にはLXとGTが正規輸入されました。前期型GTのみ5速MT、他は4速AT。
- 左ハンドル仕様で、日本の保安基準に適合させるための変更が施されました（左側通行用ヘッドランプ、フォグランプの照射方向変更、サイドウインカーの増設、可倒式ドアミラーへの変更など）。

2代目プローブは、1992年 9月に1993年モデルとして登場しました。プラットフォームはGEプラットフォームに変更され、マツダのクロノスおよびMX-6と姉妹車の関係となりました。

プローブの後継車種としては、フォード・クーガー（欧州）およびマーキュリー・クーガー（北米）が挙げられます。しかし、これらはプローブほどの成功を収めることはできず、パーソナルクーペ市場の低迷とともに、2000年代初頭に生産を終了しました。

フォード・プローブは、1980年代から1990年代にかけて、そのスポーティなデザインと走行性能で多くのファンを魅了したモデルです。マツダとの共同開発により、フォードのラインナップの中でも独自の地位を築き、今日でもその個性が語り継がれています。

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