フォービドゥン

ブラック・サバス『フォービドゥン』：封印された問題作の真実

1995年6月、ヘヴィメタル界の重鎮、ブラック・サバスが18枚目のスタジオアルバム『フォービドゥン』をリリースしました。しかし、このアルバムは、バンドの輝かしい歴史の中で、ひときわ異彩を放つ作品として、長らく議論の的となってきました。

『TYR』期のラインナップ再結集

本作のレコーディングには、1990年の『TYR』時代のラインナップが再結集。ニール・マーレイ（ベース）とコージー・パウエル（ドラムス）が復帰し、ボーカルのトニー・マーティン、キーボードのジェフ・ニコルスという編成で制作されました。しかし、この編成での最後のアルバムとなり、2013年にオジー・オズボーンとギーザー・バトラーが復帰したアルバム『13』まで、バンドによる最後のアルバムとなりました。

批評家とファンの間で分かれた評価

『フォービドゥン』は、リリース当時から批評家やファンから厳しい評価を受けました。AllMusicのレビューでは、「退屈な曲、ひどいプロデュース、そして刺激のないパフォーマンス」と酷評され、Blender誌に至っては「バンドの最悪のアルバム」と断じられました。

しかし、一部のファンは、その異質な音楽性と実験的なサウンドに魅力を感じ、カルト的な人気を博しています。

アーニー・Cのプロデュースとアイス-Tの参加

音楽的には、ブルースの影響に加え、伝統的なヘヴィメタルとパワーメタルのスタイルを取り入れています。特筆すべきは、ラップメタルバンド、ボディ・カウントのアーニー・Cがプロデュースを手掛けた点でしょう。彼の起用は、アルバムに独特の個性を与える一方で、サバスの伝統的なサウンドからの逸脱と見なされ、賛否両論を呼びました。

また、オープニング曲「The Illusion of Power」には、ボディ・カウントのアイス-Tが参加。彼のスポークン・ワードが、楽曲に異質な雰囲気を加えています。

メンバーの証言

アルバムに対するメンバーの意見も様々です。トニー・マーティンは、「リハーサルではうまくいったが、他の要因、例えばオリジナル・ブラック・サバスのラインナップによる再結成の噂や、レコード会社がアルバムに『はっきりとした不快感』を与えた」と語っています。

トニー・アイオミは、「アーニー・Cをプロデュースに迎えたが、彼に任せなければならなかったので、少し大変だった…問題の1つは、俺たちが同時にそこにいなかったということだった」と、制作時の困難を語っています。

リミックスと再評価の可能性

長らく忘れ去られた存在だった『フォービドゥン』ですが、近年、再評価の動きが見られます。2019年には、トニー・アイオミがマイク・エクセターと共にリミックスに取り組んでいることが明かされ、2020年にはリミックスが完了したことが発表されました。今後の再リリースに期待が高まります。

賛否両論を巻き起こした問題作『フォービドゥン』。その真価が問われる日は近いのかもしれません。

『フォービドゥン』は、ブラック・サバスの歴史において、異端でありながらも重要な作品として、その名を刻み続けるでしょう。

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