フォーミュラ・トヨタ

フォーミュラ・トヨタ（Formula TOYOTA, 略称:FT）

フォーミュラ・トヨタは、1990年から2007年までトヨタ自動車が主催した日本の自動車レースカテゴリです。このレースはジュニア・フォーミュラの一環として位置づけられており、国内初のワンメイクフォーミュラとして多くの若手ドライバーにステップアップの機会を提供しました。

開催の背景と成長

このシリーズは、FJ1600からフォーミュラ3への橋渡しとなる中間カテゴリとしてスタートしました。初年度から2年目にかけては、名古屋を中心とした「メイン」シリーズと、西日本を対象とした「ウエスト」シリーズが分かれていたものの、2000年には両者が統合されました。興行としては非常に成功を収め、国際的にも注目されるイベントに成長しました。

当初からエッソ石油が冠スポンサーとして名を連ねており、シリーズは「ESSOフォーミュラ・トヨタ・シリーズ」として広く知られていました。初代チャンピオンは影山正美選手で、続いて多くの有名ドライバーがこのカテゴリーで経験を積み、フォーミュラ・ニッポンやフォーミュラ3に進出しました。

フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクール（FTRS）

1995年には、フォーミュラ・トヨタの車両を用いる育成機関、フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクール（FTRS）が開設されました。このスクールではトヨタ出身のレーシングドライバーがインストラクターを務め、その指導を受けた選手たちはトヨタの推薦枠を経てプロのレースへと進むことができました。2005年には、この育成プログラムがトヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム（TDP）に統合され、より効率的な育成が行われるようになりました。

シリーズの終了と続く足跡

しかし、時が経つにつれてシャシーやエンジンの老朽化が進み、さらには2006年にトヨタ、日産、ホンダの3社が発足させたフォーミュラチャレンジ・ジャパン（FCJ）が人気を集めるなどの要因で、2007年にシリーズ運営を休止する決断が下されました。FTRSは2008年以降も継続され、2013年までフォーミュラ・トヨタの設備が使用されていました。

マシンの詳細

フォーミュラ・トヨタにおけるエンジンは、当初から1600ccの4A-GEを使用しており、高い性能を誇りました。1995年からは5バルブ仕様に変更され、レースの激化とともに様々な改良が施されました。
特にトランスミッションはヒューランド製のHパターン・4速LD200が用いられ、シャシーはトムスによって開発されました。次の3つのシャシーがシリーズの中で使用されました。

1. FT10（1991年-1994年）
アルミモノコックの初代FT車両で、トムスGBとアルゴの共同開発によるもの。

2. FT20（1995年-2001年）
エンジンのバルブ数変更をはじめ、空力面での大幅な改良が行われ、性能が飛躍的に向上しました。

3. FT30（2002年-2007年）
ジュニア・フォーミュラとしては異例のカーボンモノコックの採用、リミテッド・スリップ・デフの搭載など、進化を遂げました。

結び

フォーミュラ・トヨタは、日本のモータースポーツ界において重要な役割を果たし、多くのトップドライバーを輩出しました。その歴史はレーシング界の育成システムを確立する上で大きな意義を持ち、若手ドライバーたちにとっての登竜門となりました。

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