フォーンプラグ

フォーンプラグとは

フォーンプラグは、音響機器の接続に広く用いられるコネクタの一種です。一般的には「フォーン端子」とも呼ばれ、棒状の形状をしており、表面に複数の端子が設けられています。このプラグと対になるメス側のコネクタは「フォーンジャック」と呼ばれます。

名称の由来

「フォーン」という名称は、19世紀に手動の電話交換台で使用されていたコネクタ規格に由来します。当時、交換手がパッチパネルで接続を切り替えるために使われていたことから、この名が付けられました。

サイズと構造

フォーンプラグには、いくつかのサイズと構造が存在します。

サイズ:
6.3mm (1/4インチ): 標準サイズとして、プロの音響機器や楽器によく使用されます。
4.4mm: バランス接続用途として、比較的新しい規格です。
3.5mm: 「ミニプラグ」として知られ、携帯音楽プレーヤーやパソコンなどで広く使われています。
2.5mm: 「ミニミニプラグ」とも呼ばれ、ポータブル機器のコントロール端子などに使われます。
極数:
2極 (TS): モノラル信号の伝送に使用されます。
3極 (TRS): ステレオ信号の伝送や、モノラル平衡接続に使われます。
4極 (TRRS): ステレオ信号に加え、マイク信号などを伝送できます。
5極: ノイズキャンセル機能付きヘッドホンなどで使用されます。
6極: 特殊な用途に使用されます。

規格

フォーンプラグの形状は、アメリカ電子工業会（EIA）でEIA-453として規格化されているほか、IEC 60603-11、JIS C 6560の規格があります。特に6.3mmプラグについては、EIAとIEC/JISの規格でわずかに形状が異なり、互換性に注意が必要です。

用途と特徴

フォーンプラグは、その接続の容易さから、頻繁な抜き挿しを行う用途に適しています。主に以下の機器で利用されています。

マイクロフォン
ヘッドフォン
電子楽器
オーディオ機器

シールドケーブル

楽器用途では、両端にフォーンプラグが付いたケーブルが「シールド」と呼ばれることがありますが、これは本来「シールドケーブル」を指しており、端子の形状とは関係ありません。

構造と接続

プラグの先端の極は「チップ (tip)」、根元の極は「スリーブ (sleeve)」、チップとスリーブの間にある極は「リング (ring)」と呼ばれます。それぞれの極数に応じて、以下のように呼ばれます。

2極: TS (Tip, Sleeve)
3極: TRS (Tip, Ring, Sleeve)
4極: TRRS (Tip, Ring, Ring, Sleeve)

注意点

プラグの挿抜時に端子同士がショートする可能性があるため、電源が入った状態での抜き挿しは避けるべきです。機器によっては保護回路が組み込まれている場合があります。

独自仕様の製品

4極プラグは、ステレオヘッドホンにマイクを追加した製品や、映像信号、コントロール信号の伝送にも使用されています。また、3極プラグで入出力をまとめるインサーションケーブルなど、独自の利用法もあります。

4極プラグの規格

4極プラグには、主に以下の2つの規格があります。

CTIA: 近年主流の規格。
OMTP: 古い規格で、一部の古い機器で利用。

これらの規格には互換性がないため、注意が必要です。

各極の役割

2極 (TS): モノラル信号。
3極 (TRS): ステレオ信号（L/R）またはモノラル平衡接続。
4極 (TRRS): ステレオ信号（L/R）とマイク信号、または他の信号。
L、R、MIC、GND系: スマートフォンやパソコンでよく使われます。
L+、L-、R+、R-系: バランス駆動用のオーディオプレーヤーで使用されます。
L、R、V、GND系: 映像信号と音声信号を同時に伝送する用途で使用されます。

特殊な利用法

インサーションケーブル: ミキシングコンソールで、エフェクターなどの外部機器への入出力を1つの端子でまとめるために使用。
コンポーネントビデオ: カーナビ用地上デジタルチューナーなどで、映像信号を伝送するために使用。

その他の規格

5極: ノイズキャンセル機能付きヘッドホンなどで使用されます。
6極: 一部のMDプレーヤーで使用されます。

フォーンプラグは、その多様な用途と利便性から、音響機器の世界で欠かせない存在です。それぞれの規格や用途を理解することで、より快適にオーディオ機器を使用することができます。

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