フカミトラザメ

フカミトラザメ (Scyliorhinus hachijoensis)

フカミトラザメはトラザメ科に属するサメの一種で、主に伊豆諸島の八丈島、御蔵島、鳥島などで確認されています。このサメは、水深100〜650メートルの環境に生息しており、最大個体は44.4 cmに達しますが、通常は39 cm程度です。種小名である「hachijoensis」は、八丈島がホロタイプの産地であることに由来しています。

分類と発見の歴史

フカミトラザメは1986年に発見されました。当時、鳥島沖で行われていたキンメダイ漁において、トラザメ属の未知のサメが捕獲され、下田海中水族館へ寄贈されたことが研究のきっかけとなりました。その後、同水族館では他の個体も捕獲され、交尾や産卵が観察されるなど、飼育と展示が続けられました。

2018年に行われたDNA解析の結果、フカミトラザメが未記載種であることが確認され、2022年に正式に記載されました。ホロタイプとなる個体は2018年10月に八丈島沖の水深200〜300メートルで捕獲された37.0 cmの成熟した雄です。この種を代表する29個体がパラタイプとして指定されました。

形態的特徴

フカミトラザメは細身の体型で、尾鰭にかけて徐々に細くなります。頭部は細長く、鼻孔は大きく、口は広いという特徴があります。目は切れ長で瞬膜を持ち、鰓は5対あり、前方の鰓裂が同じ高さに位置しています。背鰭は体の後方にあり、第一の背鰭は丸みを帯びており、第二はそれよりも小さいです。胸鰭と腹鰭は大きくて三角形で、雄は特殊な繁殖器官であるクラスパーが内縁から伸びています。

フカミトラザメの皮膚は大きな皮歯に覆われ、背面が暗褐色で不明瞭な斑点模様があります。腹面はやや黄色を帯びています。また、卵殻はトラザメのものと比較して大きく、表面に独特の模様があります。

生態と繁殖

フカミトラザメの成熟サイズは、雄が34.6 cm以上、雌が34.2 cm以上と考えられています。この種は卵生であり、一度に2個の卵を産みます。飼育下では、捕獲されてからすぐに産卵を行った記録があり、翌年に孵化したことが知られています。1990年には水槽内で交尾行動も観察されました。

人との関わりと漁業

フカミトラザメは、主に御蔵島においてキンメダイ延縄漁の外道として捕獲されることが多いです。下田海中水族館での飼育記録が主なものであり、この水族館では繁殖の成功も報告されています。

脚注と参考文献

このサメに関する詳細な研究は、さまざまな専門家の手によって進められており、特に1993年に発表された萩原宗一の論文や、2022年のZootaxaにおける新種記載の記事が重要な手続きとして挙げられます。フカミトラザメに関心がある方は、これらの文献にも目を通すことをお勧めします。

フカミトラザメの研究が今後どのように進展するか注目されます。

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