フクイティタン

フクイティタンとは

フクイティタン（学名：Fukuititan nipponensis）は、約1億2500万年前の白亜紀前期に、現在のアジア大陸東岸部に生息していた大型の植物食恐竜です。竜盤目、竜脚形亜目、真竜脚類、そしてティタノサウルス形類に分類され、その名の通り、福井県で発見された化石に基づいて命名されました。現在、Fukuititan nipponensis の一種のみが知られています。

名称の由来

属名の Fukuititan は、化石の産出地である福井県にちなんでおり、ギリシャ神話の巨人族「ティタン」を組み合わせたものです。これは「福井の巨人」を意味します。種小名の nipponensis は、日本原産であることを示すラテン語で、「日本産の」を意味します。

中国語では、Fukuititan を「福井巨龍」、Fukuititan nipponensis を「日本福井巨龍」と表記します。

発見の歴史

フクイティタンの化石は、2007年夏に福井県立恐竜博物館が実施した発掘調査で、勝山市北谷町にある北谷層から発見されました。この発見は、竜盤類の骨格化石の一部であり、手取層群北谷層から産出しました。

2010年には、日本の古生物学者である東洋一氏と柴田正輝氏によって新種として記載されました。この研究成果は、中国の地質学専門雑誌『Acta Geologica Sinica』に掲載されました。

科学的知見

フクイティタンのホロタイプ（正基準標本）は FPDM-V8468 であり、この化石は同一の個体に由来すると考えられています。

本種は、戦後日本で初めて発見された比較的良質なティタノサウルス形類であり、日本のティタノサウルス形類の研究において重要な位置を占めています。しかし、発見部位が少ないため、その全容はまだ解明されていません。

研究者

フクイティタンの研究には、以下の主要な研究者が携わっています。

東 洋一 (Yoichi AZUMA)：古生物学者であり、フクイティタンの記載者の一人。日本の恐竜研究の第一人者として知られています。福井県立恐竜博物館の館長も務めていました。
柴田 正輝 (Masatsugu SHIBATA)：古生物学者であり、フクイティタンの記載者の一人。勝山市の発掘現場で産出した鳥脚類を中心に研究しています。

記載論文

Azuma, Yoichi; Shibata, Masatsugu (07 June 2010). “Fukuititan nipponensis, a new titanosauriform sauropod from the Early Cretaceous Tetori Group of Fukui Prefecture, Japan”. Acta Geologica Sinica (John Wiley & Sons) 84 (3): 454–462. doi:10.1111/j.1755-6724.2010.00268.x.

関連情報

参考文献

柴田正輝、後藤道治「福井県勝山市における第三次恐竜化石発掘調査報告（2007年度）」『福井県立恐竜博物館紀要』第7巻、福井県立恐竜博物館、2008年、109-116頁。

関連項目

2010年の古生物学 - フクイティタンが記載された年における古生物学上の出来事。
バレミアン - フクイティタンが生息した地質時代。
北谷累層 - フクイティタンの化石が産出した地層。
恐竜の一覧
絶滅した動物の一覧
北谷層から産出した恐竜（発見の早い順）：フクイラプトル、フクイサウルス、フクイヴェナートル、フクイティタン、コシサウルス、フクイプテリクス、ティラノミムス

外部リンク

当事者発信

福井県立恐竜博物館 (FPDM) 公式ウェブサイト
フクイティタン・ニッポネンシス 標本データベース
フクイティタンという学名になりました お知らせ
福井県勝山産の竜脚類の学名について 調査研究情報

関係者発信

恐竜の世界をメインテーマとして～福井県立恐竜博物館～ （勝山市村岡町） - 恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク

他者発信

Fukuititan pictures and facts - Dinosaur Pictures and Facts
* フクイティタン - 古世界の住人 - 川崎悟司


フクイティタンは、その発見から現在に至るまで、日本の古生物学研究において重要な役割を果たしています。今後のさらなる研究により、その全貌が明らかになることが期待されます。

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