フクイサウルス

フクイサウルス (Fukuisaurus tetoriensis)

フクイサウルスは、中生代白亜紀前期、約1億2500万年から1億1500万年前のオーテリビアン後期からバレミアンにかけての時代に、アジア大陸の東岸部に生息していた植物食恐竜です。鳥盤目鳥脚亜目イグアノドン類アンキロポレクシアに分類され、学名はFukuisaurus tetoriensis。この種のみが現在確認されています。

発見と命名

1989年、福井県勝山市の手取層群北谷層から化石が発見されました。発見当初は「フクイリュウ（福井竜）」という通称で呼ばれていましたが、2003年に正式にFukuisaurus tetoriensisという学名が与えられました。属名のFukuiは発見地の福井県に由来し、種小名のtetoriensisは化石が発見された手取層群にちなんでいます。

学名の由来

Fukuisaurus
Fukui：化石が発見された福井県に由来。
saurus：古代ギリシャ語の「トカゲ」を意味するσαῦρος (sauros) に由来する、爬虫類を表す接尾辞で、恐竜によく使われるため「恐竜」と意訳されます。
tetoriensis
tetori：化石が発見された手取層群に由来。
-ensis：「～産の」を意味するラテン語の接尾辞。

別名と中国語表記

発見から学名が付けられるまでは「フクイリュウ（福井竜）」という通称で呼ばれていました。学名が確定した現在では、この通称は別名として扱われています。

中国語では、Fukuisaurusを「福井龍（簡体字: 福井龙）」、Fukuisaurus tetoriensisを「手取福井龍（簡体字: 手取福井龙）」と表記します。

歴史

1989年から始まった恐竜化石調査で、保存状態の良い頭蓋骨が発見されました。1994年には日本で初めて全身骨格の復元が行われ、2003年に新属新種の恐竜として正式に記載されました。

科学的知見

ホロタイプ（正基準標本）は右上顎骨（FPDM-V-40-1）と右頬骨（FPDM-V-40-2）です。その他、パラタイプを含め合計16点の標本が確認されており、多くは頭蓋骨の構成物です。

分類

フクイサウルスはイグアノドン類に分類されますが、より詳細な分類はまだ確定していません。原記載論文ではイグアノドン科に分類される可能性も示唆されましたが、アンキロポレクシアのクレードに属し、ハドロサウルス形類には含まれないことが分かっています。

形態

全長は約4.7メートルで、歯の特徴はアルティリヌスに似ています。また、頑丈な上顎骨の構造が特徴的です。

研究者

フクイサウルスの研究に貢献した主な研究者は以下の通りです。

小林快次 (Yoshitsugu KOBAYASHI)：層序学者、古生物学者。本種の記載者の一人で、カムイサウルスやヤマトサウルスの研究でも知られています。
東洋一 (Yoichi AZUMA)：古生物学者。本種の記載者の一人で、日本における恐竜研究の第一人者です。

記載論文

Kobayashi, Yoshitsugu; Azuma, Yoichi (11 April 2003). “A new iguanodontian (Dinosauria : Ornithopoda) from the Lower Cretaceous Kitadani Formation of Fukui Prefecture, Japan”. Journal of Vertebrate Paleontology (Taylor & Francis for the Society of Vertebrate Paleontology) 23 (1): 166-175.

参考文献

「ふくいミュージアム No.26」（PDF）『ふくいミュージアム』No.26、福井県立恐竜博物館、1994年10月30日。
川越光洋「フクイリュウ全身骨格復元はじまる」＜ 恐竜化石発掘ニュース6頁。

関連項目

2003年の古生物学 - 本種が記載された年における古生物学上の事象。
バレミアン - 本種の生存した地質年代。
北谷層 - 本種を産出する地層。
北谷層から産出した恐竜：フクイラプトル、フクイサウルス、フクイヴェナートル、フクイティタン、コシサウルス
恐竜の一覧
絶滅した動物一覧

外部リンク

[福井県]]立恐竜博物館：[フクイサウルス・テトリエンシス ＜ 標本データベース
jPaleoDB（ジェイ・パレオ・ディービー）：標本詳細検索
Dinosaur Pictures and Facts：Fukuisaurus pictures and facts
* 川崎悟司：フクイサウルス

もう一度検索