フジマメ

フジマメ（藤豆）

フジマメ（学名: Lablab purpureus）は、マメ亜科フジマメ属に属するつる性の植物です。別名としてセンゴクマメ（千石豆）やアジマメ（味豆）とも呼ばれ、インゲンマメと混同されることがありますが、生物学的には異なる種です。和名の由来は、その花の形や色が藤の花に似ていることにちなんでいます。

特徴

フジマメは熱帯地域を原産とし、温暖な気候を好むため、生育が非常に旺盛です。品種によって莢の色が異なり、紫色の莢を持つ品種は、その美しい葉の色から観葉植物としても人気があります。一方、緑色の莢を持つ品種は、白い花を咲かせます。花は上向きに咲くのが特徴的です。

歴史と名称

原産地はアフリカやアジアの熱帯地域であり、古くからインドで栽培されてきました。その後、東南アジアやエジプト、スーダンなどにも広まりました。日本へは9世紀以降に何度か導入されています。地域によっては異なる呼び名があり、関西地方ではフジマメを「インゲンマメ」と呼ぶ一方、一般的なインゲンマメを「サンドマメ」と呼ぶことがあります。岐阜県では「千石豆」として、石川県では「加賀つるまめ」として、それぞれ地域ブランドとして確立されています。

栽培品種

日本国内では特に関西地方で多く栽培されており、様々な在来種が存在します。

千石豆（せんごくまめ）: 莢の形が千石船に似ていることが名前の由来とされています。若い莢と豆を食用とし、独特の風味があります。グリーンカーテンとしても利用されています。
白花千石（しろはなせんごく）: 愛知県で明治時代から栽培されている伝統野菜です。長さ6 - 7 cmほどの柔らかい莢が特徴で、ごま和え、おひたし、煮物などに適しています。

栽培方法

フジマメは春に種をまき、初夏から盛夏にかけて未熟な莢を収穫します。栽培方法はインゲンマメに準じますが、高温に強く、栽培適温は23 - 25度です。低温には弱いものの、高温下ではインゲンマメよりも育てやすく、多くの莢をつけます。つるが伸びる前に支柱を立て、つるを絡ませますが、自然に巻き付くため、特に誘引作業は必要ありません。つるは旺盛に成長し、3 - 5 mに達することがありますが、品種によっては30 - 50 cm程度のつるなし種（矮性種）も存在します。生育初期に追肥を行えば、あとは比較的放置していても育ちます。莢の長さが8 - 10 cmになった頃が収穫の目安で、遅れると莢が硬くなるため、適期を逃さないように注意が必要です。

苗を育てる際は、育苗ポットに種を4 - 5粒まき、3 cmほど土をかぶせて軽く押さえます。発芽後、本葉が1 - 2枚の頃に間引きを行い、本葉が6 - 7枚になったら畑に植え付けます。畑には植え付けの2週間ほど前に石灰と元肥を混ぜて耕し、畝を作ります。株間を50 cmほど空けて苗を植え付けます。直播きする場合は、畝に1箇所あたり4 - 5粒の種をまき、育苗と同様に育てます。畝には丈夫な支柱を立て、隣の支柱と交差させるように設置し、収穫時に手が届くようにします。つるは良く伸びるため、早めに支柱を立てて絡ませることが重要です。

利用方法

フジマメは熱帯・亜熱帯地域で食用や家畜の飼料として栽培されています。若い莢は天ぷらや塩ゆで、和え物、油炒め、汁物の具材として利用されます。種子は成熟したものと若いものの両方が食用可能ですが、成熟した種子は外皮が硬いため、調理には長時間の加熱が必要です。加熱の際は何度か水を換えることで、より美味しく食べられます。ただし、大量に摂取すると毒性があるため注意が必要です。乾燥させた種子は豆粕に加工したり、発酵させて納豆のようにして食べることもあります。ミャンマーでは、種子がカレーの材料として利用されています。

東洋医学では、フジマメは「扁豆」と呼ばれ、消化不良や解毒に効果のある生薬として用いられています。

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