フダンソウ

フダンソウ（不断草）とは

フダンソウ（Beta vulgaris var. cicla）は、ヒユ科の植物で、一年草または二年生草本です。和名では「不断草」と書き、その名の通り、ほぼ一年中収穫できる丈夫な葉物野菜です。別名として、トウヂサ、フダンナ、イツモナなど、様々な呼び名があります。

スイスチャードという名前でも知られており、特に葉柄が太く、葉に縮みがある品種を指すことが多いです。また、セイヨウフダンソウという和名も、スイスチャードに対して用いられます。フダンソウは、テンサイやテーブルビートと同じ仲間で、葉を食用とするために改良されたビートの一種です。

名称の由来

フダンソウの和名「不断草」は、その丈夫さから来ています。暑さや寒さに強く、ほぼ一年中葉を収穫できることから、この名前が付けられました。江戸時代の書物にも、その由来が記されています。また、地方によって様々な呼び名があり、岡山県では「アマナ」、長野県では「トキシラズ」や「キシャナ」、沖縄県では「ンスナバー」など、独特な名前で呼ばれています。

歴史

フダンソウは、地中海沿岸が原産とされており、古くから栽培されてきました。紀元前1000年頃にはシチリア島で栽培されていたという記録があり、古代ギリシャやローマ時代にも広く栽培されていたようです。当時は、葉の色によって「黒フダンソウ」と「白フダンソウ」に分けられていました。中国には6世紀頃に伝わり、17世紀頃に日本に伝わったと考えられています。

形態

フダンソウは、株全体が無毛で、草丈は30cm程度です。根は直根で、肥大しません。葉は卵形または長卵形で、肉厚です。葉柄の色は、深緑色、白色、紅色、黄色、オレンジ色など、非常に多彩です。花は初夏に咲き、花弁はなく、小さな花が集まって円錐状の花序を作ります。

品種

フダンソウの品種は、大きく分けて小葉種と洋種白茎種の2系統があります。在来種は葉が小さく、葉柄が細い傾向にあります。一方、洋種白茎種は葉が大きく、葉柄が幅広く肉厚です。スイスチャードは、この洋種白茎種に属し、葉柄の色がカラフルなのが特徴です。日本では、正確な品種名をつけて種子を取り扱っていませんが、ヨーロッパや北米では多くの品種に分化しています。

栽培

フダンソウは、春または秋に種を蒔き、2～3ヶ月で収穫できます。春蒔きの場合は初夏に、秋蒔きの場合は晩秋から翌春にかけて収穫できます。畑に直接種を蒔く方法と、苗を育ててから植え付ける方法があります。一般的には、直接種を蒔く方法が用いられますが、洋種白茎種は移植栽培が適しています。発芽温度は9～35度と幅広く、25度付近が最適です。耐暑性が強く、比較的育てやすい野菜です。

連作障害があるため、同じ場所での栽培は1～2年空ける必要があります。播種時には、種を水に浸してから蒔くと発芽しやすくなります。発芽後は、間引きをしながら育てていきます。収穫は、草丈が15～20cmになった頃から、下葉を掻き取るように行います。病害虫は比較的少ないですが、斑点病や立枯病、ヨトウムシなどに注意が必要です。

食用

フダンソウの葉は、ホウレンソウに似た味わいで、おひたし、和え物、スープ、炒め物など、様々な料理に利用できます。独特の青臭さがあるため、下茹でしてから調理するのが一般的です。葉柄は、煮込みや炒め物に向いています。スイスチャードは、葉柄のカラフルさを活かして、サラダや料理の彩りにも利用されます。特に、若葉は「ベイビーリーフ」として、サラダによく用いられます。栄養価が高く、β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンE、カルシウム、鉄分などが豊富です。特に、カリウムと鉄分が豊富に含まれています。

薬用

古くから、フダンソウは消炎、鎮痛、止血などの効果があるとされ、民間療法に用いられてきました。また、整腸作用や便秘解消にも有効とされています。ただし、身体を冷やす作用もあるため、食べ過ぎには注意が必要です。

フダンソウは、家庭菜園でも手軽に栽培できるため、ぜひお試しください。

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