フモレスケ (シューマン)

ロベルト・シューマン『フモレスケ』変ロ長調 作品20

概要

『フモレスケ』（Humoreske）変ロ長調 作品20は、ロベルト・シューマンが1839年に作曲したピアノ独奏曲です。作曲当時、シューマンはウィーンに滞在しており、翌年に結婚するクララはパリにいました。シューマンは1839年3月11日にクララに宛てた手紙で、この曲について言及しています。

この曲は、様々な感情が次々と現れ、表情を変えながら移り変わるように書かれています。主題の数も多く、形式的には捉えどころがない印象を与えるため、批判されることもあります。しかし、シューマン自身は、自らの楽曲のこのような性質について、以下のように述べています。

シューマンは、ジャン・パウルのような気分が曲の着想に繋がったとしていますが、楽曲にはパウルの作品との直接的な関連性はありません。「フモレスケ」はドイツ語でユーモアを意味する「Humor」から派生した言葉ですが、曲は必ずしもユーモラスな調子ではありません。シューマンによれば、「ドイツ人の思想に深く根差し、最も特徴的な『Gemütliche（親しみやすさ）』と『Humor（ユーモア）』」であると述べています。この曲は、作曲家のユリー・フォン・ヴェーベナウに献呈されました。

楽曲構成

この楽曲は7つの部分から構成されており、切れ目なく演奏されます。ただし、最後の「Zum Beschluss」を除いて、シューマン自身がそのように解説したわけではありません。曲は名目上、変ロ長調とされていますが、大部分は平行調であるト短調で書かれています。各部分で構成や情感が大きく異なっているのが特徴です。

1. 単純に（Einfach 変ロ長調、4分の4拍子、M.M. = 80）
2. 非常に速く、軽く（Sehr rasch und leicht 変ロ長調、4分の2拍子、M.M. = 138）
3. さらに速く（Noch rascher ト短調）
4. はじめのテンポで（Erstes Tempo 変ロ長調、4分の4拍子）
5. 最初のように（Wie im Anfang）
6. 性急に（"Hastig" ト短調、4分の2拍子、M.M. = 126）
7. 次第に活発、力強く（"Nach und nach immer lebhafter und stärker" ニ短調）三段譜表が用いられ、内声（Inner Stimme）が中段に明示されています。
8. 前のように（"Wie vorher"）– アダージョ
9. 単純、繊細に（Einfach und zart ト短調、4分の4拍子、M.M. = 100）
10. 間奏曲（変ロ長調、4分の2拍子、M.M. = 100）
11. 愛情をこめて（"Innig" 変ロ長調、4分の4拍子、M.M. = 116）
12. 速く（"Schneller" Tempo I）
13. 非常に活発に（"Sehr lebhaft" ト短調 - 変ロ長調、4分の2拍子、M.M. = 76）
14. いっそう活発に（"Immer lebhafter"）
15. ストレット
16. いくらか華麗さをもって（"Mit einigem Pomp" ハ短調、4分の4拍子、M.M. = 92）
17. 最後に（"Zum Beschluss" 変ロ長調、4分の4拍子、M.M. = 112）– アレグロ

演奏時間は、演奏者によって大きく異なり、約24分から32分程度です。

参考文献

CD解説 アンジェラ・ヒューイット著 ハイペリオン・レコード CDA67618
Robert Schumann: Sämtliche Klavierwerke, vol. IV, Breitkopf & Härtel, Wiesbaden 1988, pp. 1–29.

外部リンク

フモレスケ 変ロ長調 作品20の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
フモレスケ - ピティナ・ピアノ曲事典

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