フユアオイ

フユアオイ（冬葵）とは

フユアオイ（学名：Malva verticillata）は、アオイ科に属する一年生または二年生の草本です。原産地は中国で、日本には古くから食用および薬用として導入されました。現在では、栽培されることは少なくなりましたが、海岸などで野生化したものが見られます。

名称の由来

フユアオイという名前は、冬でも枯れない、または冬にも花を咲かせることに由来すると考えられています。「葵（あおい）」という名前は、近世以降はタチアオイを指すのが一般的ですが、元々はフユアオイを指していました。この「葵」の字は、「仰(あお)ぐ日(ひ)」に由来し、葉が太陽の方向を向く性質があることにちなんでいます。ただし、万葉集の時代にはすでにタチアオイを意味していたという説もあります。

特徴

フユアオイの葉は掌状で、浅く切れ込んでいます。花は直径約1cmと小さく、白または淡紅色をしています。花は葉の付け根に集まって咲き、通常は春から秋にかけて開花します。

利用法

フユアオイは、生薬や野菜として利用されます。種子は「冬葵子（とうきし）」という生薬として用いられ、お茶としても飲まれています。また、葉は茹でて食べることができ、中国などでは現在でも野菜として広く利用されています。

オカノリ（陸海苔）について

フユアオイの変種であるオカノリ（学名：Malva verticillata var. crispa）は、ヨーロッパ原産で、江戸時代中期に日本に渡来しました。オカノリは、葉を食用にするために栽培されます。オカノリの名前の由来は、乾燥させて炙ると海苔のように使えることから来ています。食材としての旬は晩春から初夏（4月～7月ごろ）で、葉を摘んで食べます。軸は硬いため通常は食べません。葉を茹でると少しぬめりが出て、お浸し、味噌汁、天ぷら、炒め物など様々な料理に利用できます。オカノリは、カルシウム、鉄分、ミネラルが豊富で、栄養価が高い食材です。

まとめ

フユアオイは、古くから日本で利用されてきた植物であり、その変種であるオカノリは、現在でも貴重な野菜として親しまれています。これらの植物は、食用だけでなく、薬用としても利用され、私たちの健康を支えてきました。

参考文献

* 猪股慶子監修、成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、15頁。ISBN 978-4-415-30997-2。

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