フライドコーク

フライドコーク（Fried Coke）とは

フライドコーク、あるいはディープフライドソーダ（Deep Fried Soda）とも呼ばれるこの食べ物は、アメリカ発祥のユニークなデザートです。その名の通り、コカ・コーラの風味を巧みに取り入れた揚げ物として知られています。

具体的には、まずコカ・コーラ味の生地を凍らせ、それを高温の油で揚げて作られます。揚げ終わった生地の上には、仕上げとしてコカ・コーラのシロップ、ホイップクリーム、シナモンシュガー、そして彩りとしてサクランボなどがたっぷりとトッピングされます。食感は、揚げたドーナツのようなふっくらもちもち感と、コーラ風味の甘さが組み合わさった、他に類を見ないものです。

発祥と普及

この独創的なデザートは、2006年にテキサス州で開催された「ステート・フェア・オブ・テキサス」で、発明家として知られるアベル・ゴンザレス・ジュニア氏によって考案されました。ゴンザレス氏は、このフライドコーク以外にも、後に同じフェアで揚げバターや揚げビールといった、さらに型破りな揚げ物料理を生み出しており、「揚げ物の王様」の異名を持つ人物です。

フライドコークの斬新な発想は高く評価され、ステート・フェア内で食品出展者が競う第2回年次審査では、「最も創造的（Most Creative）」という栄誉ある賞を受賞しました。この受賞とユニークな見た目、味は大きな注目を集め、テキサス州内で絶大な人気を博しました。販売開始からわずか2週間で1万カップという驚異的な売上を記録したことからも、その当時のフィーバーぶりがうかがえます。

その人気は瞬く間にテキサス州を越え、全米へと波及しました。2007年には、アメリカ合衆国を構成する少なくとも47の州のステート・フェアでフライドコークを見かけるほどになりました。現在では、そのユニークさが注目され、アメリカ国内だけでなく、世界各地のイベントや屋台で提供されるまでになっています。

メディアにも取り上げられており、2009年にはトラベルチャンネルの料理番組「ビザール・フーズ（Bizarre Foods with Andrew Zimmern）」でも紹介され、その存在が広く知られることとなりました。

特徴とバリエーション

フライドコークは、その美味しさとともに高いカロリーも特徴の一つです。一般的に、1カップあたり推定830カロリー（約3,500kJ）とされており、ボリューム満点の一品と言えるでしょう。

フライドコークが誕生して以来、このアイデアを応用した様々なバリエーションが登場しています。オリジナルのコカ・コーラ風味だけでなく、他の炭酸飲料（ソーダ）の風味を用いたものや、異なるトッピングを組み合わせたものなどが見られます。

例えば、2007年のインディアナ州ステート・フェアに関するニューヨーク・タイムズ紙の記事では、油で揚げたペプシのバリエーションが「革新的」として紹介されています。このペプシ版フライドソーダは、球状にして揚げられ、食べる際には爪楊枝が添えられていたとのことです。その風味については、「ドーナツの穴に似た味だが、ペプシ特有の風味がはっきりと感じられる」と評されました。こちらにも、シナモンシュガーやパウダーシュガー、ホイップクリームといった甘いトッピングが添えられていたようです。

フライドコークは、伝統的な料理の枠にとらわれない、アメリカのフェア文化が生んだ象徴的なフードとして、多くの人々に驚きと楽しみを提供し続けています。

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