フライング・コップ 知能指数0分署

フライング・コップ（原題 POLICE SQUAD!）

『フライング・コップ』は、1982年にABCで放送されたスラップスティック・ドラマであり、後の映画『裸の銃を持つ男』シリーズの基盤となったコメディテレビドラマです。本作は、各エピソードが約30分のカラー版で、全6話から成ります。

概要

このシリーズは、レスリー・ニールセンが演じるフランク・ドレビン警部補の冒険を中心に展開しますが、特筆すべきは登場人物全員が真剣な表情でコミカルな行動を取ることです。観客の笑い声が入ることがないため、視聴者はシリアスな雰囲気の中でボケが繰り広げられるという独特のスタイルが特徴です。日本での放映タイトルは、本作の制作スタッフが関与した映画『フライングハイ』をもじったものです。

シリーズの基盤には、リー・マーヴィン主演の『シカゴ特捜隊M』があり、特に第1話ではそのストーリーやシーンが引用されています。作品中では、ユーモアの密度が非常に高く、駄洒落や奇抜な名前の店舗、そして個性的なキャラクター達が次々と登場します。例えば、オープニングで登場しないゲストスターや、子供に怪しげな知識を教える鑑識官などが特徴的です。また、ドラマ内ではフランクの車が追突する様子を使って話数を表現したり、エレベーターの妙な動きなど、視聴者を楽しませるギャグが満載です。

エピソードの特徴

毎話、お約束となるギャグが繰り返され、例えば背景が最後の静止画像であると同時に、一部のキャラクターが動き続ける場面が展開されます。この演出によって、予測不可能な出来事が物語に織り込まれるのが魅力の一つです。また、エンドロールの際に使われるジョークは、後に『裸の銃を持つ男』のプロモーションにも利用されました。タイトルテロップは「POLICE SQUAD! IN COLOR」と表示され、当時では珍しかったカラー放送を強調する一方で、モノクロ放送からの移行を意識させる部分も面白いポイントです。

制作背景と評価

制作チームは非常に自信を持ってこのシリーズを世に送り出しましたが、視聴率は振るわず、全6話で打ち切りとなりました。視聴者はあまりにもギャグの密度が高いため、テレビを見ながらの視聴には向かなかったという意見もありました。そのため、より大きなスクリーンで見ることができれば、より楽しめるのではないかと考えたニールセンは、映画化を提案しました。初めは長編映画に向いていないとして却下されましたが、やがて『裸の銃を持つ男』として実現し、見事な成功を収めました。

キャストとスタッフ

フランク・ドレビン刑事 - レスリー・ニールセン
エド・ホッケン警部 - アラン・ノース
テッド・オルソン鑑識課主任 - エド・ウィリアムス
情報屋ジョニー - ウィリアム・デュエル
ノーバーグ刑事 - ピーター・ルーパス
エイブラハム・リンカーン - レックス・ハミルトン（本編には登場しない）

監督はジム・エイブラハムズやデヴィッド・ザッカーらが務め、音楽はアイラ・ニューボーンが担当しました。

ソフト化情報

1986年にはVHS版が発売され、2010年にはDVDがアミューズソフトエンタテインメントからリリースされました。初期のVHS版からはサブタイトルが変わるなどの小さな変更も見られます。

『フライング・コップ』は、独特なユーモアと斬新な演出で視聴者を楽しませながらも、早くも放送が終了したものの、その後の映画シリーズに多大な影響を与えた作品として、今なお多くのファンに愛されています。

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