レスリー・ニールセン

レスリー・ニールセン：カナダが生んだコメディ界の巨匠

レスリー・ニールセン (Leslie William Nielsen, 1926年2月11日 - 2010年11月28日) は、カナダ・サスカチュワン州レジャイナ出身の俳優です。端正な顔立ちと落ち着いた雰囲気を持ちながら、コメディ映画で類まれな才能を発揮し、世界中の人々を笑わせ続けました。特に『裸の銃を持つ男』シリーズでのコミカルな演技は、彼の代表作として広く知られています。

ニールセンの生い立ちには、俳優としてのキャリアを予感させる要素がいくつか見られます。ウェールズ系とデンマーク系の両親のもと、2人の兄弟と共に育ちました。兄は後にカナダ副首相を務める政治家となり、彼とは対照的な人生を歩んだと言えるでしょう。幼少期は聴覚に問題を抱えていたものの、17歳で軍隊に入隊。カナダ空軍で銃手の訓練を受け、退役後はトロントの演劇学校で演技を学びました。

その後、ラジオDJを経てアメリカへ渡り、ネイバーフッド・プレイハウスやアクターズ・スタジオで研鑽を積みました。1948年にテレビデビューを果たすと、当初はアクション映画を中心に活躍しました。しかし、彼の演技力はシリアスな作品でも高く評価され、『禁断の惑星』や『ポセイドン・アドベンチャー』といった作品にも出演しています。1960年代以降はテレビ映画への出演も増え、キャリアを着実に積み重ねていきました。

転機となったのは、1980年公開の映画『フライングハイ』です。この作品でニールセンは、冷静な表情でとんちんかんな発言を繰り返す医師役を演じ、コメディ俳優としての才能を開花させました。制作スタッフによると、ニールセンは当初、この役を引き受けるか悩んでいたようです。しかし、1950年代の作品『Zero Hour』を観て、自身の演技の可能性を見出し、見事なコメディ演技を披露したと言われています。この経験が、後の彼のコメディ俳優としての成功の礎となりました。

『フライングハイ』での成功をきっかけに、ニールセンはコメディ作品への出演が増え、1988年に公開された『裸の銃を持つ男』シリーズは大ヒットを記録しました。この作品で彼は、一見すると渋い紳士だが、常にドジを踏んでしまう役柄を演じ、独特のユーモラスな魅力で観客を魅了しました。彼のコミカルな演技は、大騒動の中での冷静な態度や、予想外の行動など、多くの笑いを生み出しました。

日本では、『裸の銃を持つ男』シリーズが爆発的な人気を博しました。その影響から、その後公開された彼の作品には「裸の…」や「…を持つ男」といった邦題が付けられることが多くなりました。さらに、日本のバラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんTV』や『志村けんのだいじょうぶだぁ』にも出演し、加藤茶や志村けんらと共演するなど、日本でも高い人気を誇りました。プライベートではゴルフ好きとしても知られ、ゴルフ関連の作品にも出演し、著作も発表しています。

ニールセンは4度の結婚を経験し、2人目の妻との間に2人の娘をもうけました。2010年11月28日、フロリダ州フォートローダーデールにて、肺炎とそれに伴う合併症のため84歳で死去しました。彼の死は世界中のコメディファンに大きな悲しみをもたらしました。

ニールセンの日本での吹き替えは、主に中村正氏と羽佐間道夫氏が担当しました。その他にも、小林修氏、小島敏彦氏、大木民夫氏、広川太一郎氏など、多くのベテラン声優が彼の声を演じています。

レスリー・ニールセンは、その独特のコメディセンスと高い演技力で、多くの人々に笑顔と感動を与え続けました。彼の作品は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

もう一度検索