フラッシュ・ゴードン (アルバム)

クイーンの異色作『フラッシュ・ゴードン』

『フラッシュ・ゴードン』は、イギリスのロックバンド、クイーンが1980年に発表したアルバムです。このアルバムは、同名のSF映画『フラッシュ・ゴードン』のサウンドトラックとして制作されました。クイーンのアルバムとしては異色であり、1曲目の「フラッシュのテーマ」と18曲目の「ザ・ヒーロー」を除き、全曲がインストゥルメンタルで構成されています。

制作の背景

前作『ザ・ゲーム』の制作中、クイーンは映画プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスから、映画『フラッシュ・ゴードン』のサウンドトラック制作を依頼されました。メンバーは1980年2月頃から制作を開始し、6月頃から本格的なレコーディングをロンドンのスタジオで行いました。オーケストラのレコーディングは、同年9月にロンドンのアンヴィル・スタジオで実施されています。

サウンドの特徴

アルバムでは、前作に引き続きオーバーハイム社のシンセサイザーOB-Xをはじめとするシンセサイザーが多用され、特徴的なサウンドを形成しています。また、映画の雰囲気を盛り上げるために、オーケストラを導入するなど、これまでのクイーンのアルバムとは異なるアプローチが試みられています。

シングルとコンセプトアルバムとしての側面

アルバムからの唯一のシングルカットとなった「フラッシュのテーマ」は、全英チャートで10位、全米チャートで42位、オーストリアでは1位を獲得しました。この曲には2つのバージョンが存在し、アルバムバージョンは映画の冒頭シーンで使用されているものと同じです。一方、シングルバージョンには映画のセリフが挿入されており、こちらはクイーンのベストアルバム『グレイテスト・ヒッツ』に収録されています。

アルバム全体を通して、映画のセリフや「フラッシュのテーマ」のメロディが効果的に使用されており、まるで映画のサウンドトラックを聴いているかのような感覚になります。これらの要素から、このアルバムは映画をモチーフにしたコンセプトアルバムであるとも言えるでしょう。

参加ミュージシャン

• - フレディ・マーキュリー: ボーカル、バッキングボーカル、シンセサイザー
• - ブライアン・メイ: エレキギター、バッキングボーカル、シンセサイザー、ピアノ、オルガン、「フラッシュのテーマ」での共同リードボーカル
• - ジョン・ディーコン: ベースギター、エレキギター、シンセサイザー
• - ロジャー・テイラー: ドラムス、ティンパニ、バッキングボーカル、シンセサイザー
• - ハワード・ブレイク: オーケストラ編曲

チャート成績

「フラッシュのテーマ」は各国でチャート上位にランクインし、アルバム自体も一定の商業的成功を収めました。映画のサウンドトラックという特殊な形態ながら、クイーンの音楽性を示す作品として、ファンに広く愛されています。

『フラッシュ・ゴードン』は、通常のアルバムとは異なる制作背景と内容を持つ作品です。インストゥルメンタル曲が中心であること、映画のセリフやメロディが随所に散りばめられていることなど、クイーンの新たな音楽性を垣間見ることができます。映画ファンはもちろん、クイーンのファンにとっても興味深いアルバムと言えるでしょう。

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