フランク・ベルナップ・ロング

フランク・ベルナップ・ロングJrは、20世紀を代表するアメリカ合衆国のホラー小説家、SF作家、そして詩人です。1903年4月27日、ニューヨーク州で生まれ、ニューヨーク大学に通ったものの中退しました。彼の創作活動は多岐に渡り、小説、短編小説、詩、さらにはアメリカン・コミックスの原作まで手がけています。

ロングの創作人生において、特筆すべきは作家H・P・ラヴクラフトとの深い交流です。二人はアマチュア時代からの親友であり、ラヴクラフトはロングを文字通り弟分として可愛がったと言われています。ラヴクラフト・サークルに深く関わったロングは、クトゥルフ神話の重要な作家の一人として知られています。1924年、雑誌『ウィアード・テイルズ』に掲載された「The Desert Lich」でデビューを果たし、その後も精力的に『ウィアード・テイルズ』や『アスタウンディング・サイエンス・フィクション』などに作品を発表しました。

ロングはクトゥルフ神話を題材にした多くの作品を残しており、中でも初期のクトゥルフ神話作品の一つである『喰らうものども』(The Space-Eaters)は、この神話の後の発展に大きな影響を与えました。また、クトゥルフ神話の象徴的な存在であるティンダロスの猟犬を考案したことでも知られています。

彼の作品はホラーに留まらず、SFや詩といった様々なジャンルに広がりを見せ、多様な才能を発揮しました。生涯に25編の小説、150編以上の短編小説、8編の短編集、3編の詩集、そして数多くのノンフィクション作品や漫画の原作を残しました。その創作意欲は衰えることなく、晩年まで創作活動を続けました。

ロングの作品は世界中に多くの読者を獲得し、高い評価を受けています。彼の作品は、独特の雰囲気と、時にグロテスクで衝撃的な描写で知られていますが、同時に深い心理描写や哲学的なテーマも含まれています。彼の作品世界は、読者に深い恐怖と同時に、人間の深淵に触れる深い思索を与えてくれます。

日本語に翻訳された作品も多く存在し、日本の読者にも広く知られています。代表的な作品として、『喰らうものども』(The Space-Eaters)、「ティンダロスの猟犬」(The Hounds of Tindalos)、「千の足を持つ男」(The Man with a Thousand Legs)、「エジプトからの来訪者」(A Visitor from Egypt)、「脳を喰う怪物」(The Brain-Eaters)、「恐怖の山」(The Horror from the Hills)、「暗黒の復活」(Dark awakening)などがあります。また、クトゥルフ神話に関連する作品だけでなく、「死のおもかげ」(Harvest of Death)、「水棲人の反乱」(The Great Cold)、「人口調査係」(The Census Taker)、「月面植物殺人事件」(Plants Must Grow)、「最後の人々」(The Last Men)、「海の大蛭」(The Ocean Leech)、「ハロウィーンの恋人」(Lover in the Wildwood)、「漂流者の手記」(The Sea-Thing)などの短編小説も高い評価を得ています。

彼の作品は、インターネットアーカイブやLibriVoxなどのオンラインリソースでアクセス可能です。ロングの作品を通して、20世紀アメリカンホラー文学の豊かな世界に触れてみてはいかがでしょうか。彼の創作活動は、ホラー文学、そしてクトゥルフ神話に多大な貢献をしただけでなく、現代の作家たちにも大きな影響を与え続けていると言えるでしょう。彼の残した作品は、これからも多くの読者を魅了し続けることでしょう。

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