フランク・ヴォーゲル

フランク・ヴォーゲル：苦難を乗り越え、頂点へ、そして再び岐路に立つ指導者

フランク・ポール・ヴォーゲル（Frank Paul Vogel、1973年6月21日 - ）は、アメリカ合衆国フロリダ州ペンサコーラ出身のプロバスケットボール指導者です。NBAのフェニックス・サンズでヘッドコーチを務めていましたが、2024年5月に解任されました。

生い立ちと苦難の時代

ヴォーゲルはニュージャージー州ワイルドウッドで育ちました。17歳の時、自宅が火災で全焼するという悲劇に見舞われましたが、母親と共に窓から脱出し、九死に一生を得ました。1991年にワイルドウッド高校を卒業後、ジュニアカレッジでバスケットボール選手として活躍。その後、ケンタッキー大学に転校し、ケンタッキー・ワイルドキャッツ男子バスケットボールチームの学生マネージャー、そしてコーチを務めました。1998年には生物学の理学士号を取得しています。

NBAでの下積み時代

ヴォーゲルのNBAキャリアは、ボストン・セルティックスのビデオコーディネーターとして2001年に始まりました。その後、アシスタントコーチへと昇格し、5年間チームに貢献。その後、フィラデルフィア・76ersのアシスタントコーチを1年間、ロサンゼルス・レイカーズとワシントン・ウィザーズでスカウトをそれぞれ1年間務めました。

2007年、インディアナ・ペイサーズにアシスタントコーチとして迎えられ、ジム・オブライエンヘッドコーチの下で指導に当たりました。2010-2011シーズン途中、チームの不振を受けてヘッドコーチに昇格すると、チームを立て直し、プレーオフ進出に導きました。

インディアナ・ペイサーズでの成功と苦悩

ヴォーゲルは、2011-2012シーズンから2013-2014シーズンにかけて、ペイサーズを着実に再構築しました。2013年のプレーオフでは、カンファレンスファイナルでマイアミ・ヒートを苦しめましたが、惜しくも敗退。2013-2014シーズンには、オールスターゲームでヘッドコーチを務めるなど、その手腕が高く評価されました。このシーズン、ペイサーズはイースタン・カンファレンスで第1シードを獲得しましたが、プレーオフでは再びヒートに敗れました。2014-2015シーズンは、ポール・ジョージの負傷離脱もあり、プレーオフ進出を逃しました。翌シーズンはジョージが復帰し、プレーオフに進出しましたが、トロント・ラプターズに敗れ、シーズン終了後に契約を更新されませんでした。

オーランド・マジック、そしてレイカーズへ

2016年5月18日、ヴォーゲルはオーランド・マジックのヘッドコーチに就任しましたが、2018年4月12日に解任されました。

2019年5月14日、ロサンゼルス・レイカーズのヘッドコーチに就任。就任1年目の2019-20シーズンには、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスを擁し、チームをNBAファイナル優勝に導きました。2021年8月6日にはレイカーズと契約を延長しましたが、2021-22シーズンはプレーオフ進出を逃し、解雇されました。

フェニックス・サンズでの短い期間

2023年6月6日、フェニックス・サンズのヘッドコーチに就任しましたが、2024年5月10日に解任されました。

ヴォーゲルのヘッドコーチとしてのキャリアは、必ずしも順風満帆ではありませんでした。しかし、セルティックスでの下積み時代から、ペイサーズでの成功、そしてレイカーズを優勝に導いた実績は、彼の指導者としての能力の高さを証明しています。サンズでの解任は、彼にとって新たな挑戦への序章となるのでしょうか。

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