フランシス・イシドロ・エッジワース

フランシス・イシドロ・エッジワース (Francis Ysidro Edgeworth)

フランシス・イシドロ・エッジワースは、1845年にアイルランドのロングフォード県で生まれた。彼の家系はアイルランドの名家に属し、スペインの血も引いていた。エッジワースは、その才能と知識により、19世紀から20世紀初頭のイギリスにおいて重要な経済学者の一人としてその名を残している。

学問とキャリア

若い頃にダブリンのトリニティ・カレッジに進学し、さらにオックスフォード大学のベリオル・カレッジを卒業。彼の教育の背景は、当時からその記憶力と機知が高く評価される要因となった。1877年には弁護士の資格を取得し、キングス・カレッジ・ロンドンで論理学と経済学を教えた後、1891年からオックスフォード大学の経済学教授として活躍した。
また、大英学術協会の経済学部会の会長を1889年と1922年に務めたほか、王立統計学会の会長や王立経済学会の副会長、英国学士院の会員としても名を馳せた。彼はまた、1907年には立統計学会からガイ・メダルを授与されている。

エッジワースは、1891年の創刊以来、学術誌「Economic Journal」においても有能な編集者として活動し続けた。

生涯と個性

彼はフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語に堪能であり、古典文学からの引用をしばしば用いた。独身でありながら、国際的な人脈を幅広く持ち、皮肉混じりの態度とユーモアを交えた交流で他者に強い印象を与えていた。その独特の個性は、数多くの奇行や逸話と共に彼を少なからぬ知名度に導いている。

経済学への貢献

エッジワースの初期の経済思想は、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズやアルフレッド・マーシャルの影響を受けており、特にマーシャルとの数学的アプローチにおいて共通点を見出している。彼は経済学に数学の手法を導入した先駆者として認識されており、これを「数理心理学」と名付けた。

エッジワースは、限界理論の背景にある功利主義と心理学を基盤に据えた研究を行い、経済学への貢献を続けた。例えば、契約曲線やエッジワース・ボックスといった概念を導入し、経済的価値の測定に指数を使用したことで、後世の研究者にとって非常に価値ある基盤を提供した。

エッジワース・ボックス・ダイアグラムは、2つの財と消費者の均衡を視覚的に表現できるもので、非常に重要なツールとなっている。

著作と思想

彼の著作には、1877年の『倫理学の新方法と旧方法』や1881年の『数理心理学』が含まれ、特に倫理と経済の関連に関する議論がなされている。彼は快楽や苦痛の計算法を数学を通じて展開し、経済学の基盤としての社会科学に数学的手法を応用する側面を強調した。

1884年には『見込みの哲学』を発表し、確率論に関する見解を示したが、後には統計学への関心が高まり、確率の計算よりも現実世界のデータを重視するようになる。また、彼は心理学的観点に基づき、全体が部分の総和に等しいとは限らないこと、小さな変化が大きな影響を及ぼすこと、大量のデータに基づく証明の重要性を訴えている。

結論

フランシス・イシドロ・エッジワースは、特異な個性と豊かな知識を持った経済学者として評価されており、彼の業績は今日の経済学や統計学の基礎を築く上で重要な役割を果たした。彼の著作や理論は、現在に至るまで幅広く議論されており、経済学の発展に寄与した偉大な思想家として記憶され続けるだろう。

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