フランスにおける2019年コロナウイルス感染症の流行状況

フランスにおける新型コロナウイルス感染症の流行状況（2019年～）

本稿では、フランスにおける新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の流行状況について、2019年の発生初期から現在に至るまでの経緯、政府の対応、社会・経済への影響などを詳細に解説します。

感染者数の推移

フランス国内における感染者数は、2021年4月9日時点で500万人を超え、世界で4番目、ヨーロッパでは最多の規模となっています。

感染の拡大

フランス本土

2020年1月25日、フランス国内で最初の感染例が確認されました。ボルドーとパリ近郊のイル＝ド＝フランス地域圏で計3名の感染が確認され、うち2名は家族とみられています。その後、感染は徐々に拡大し、各地で感染者が確認されるようになりました。

1月: 中国・武漢からの帰国者を中心に感染が確認
2月: オート＝サヴォワ県のスキーリゾートでの集団感染が発生。パリでの死亡例も確認
3月: グラン・テスト地域圏ミュルーズでの宗教的集会をきっかけに感染が急拡大。政府高官や国会議員の感染も相次ぎ、社会全体に影響が拡大

海外領土

フランス本国に加えて、海外領土でも感染が確認されています。

サン・バルテルミー島、サン・マルタン: 2020年3月1日に最初の感染例が確認
フランス領ギアナ: 2020年3月4日、ミュルーズを訪れた5人の感染が確認
マルティニーク: 2020年3月5日、最初の感染者が確認
レユニオン: 2020年3月11日、カリブ海クルーズからの帰国者の感染が確認
フランス領ポリネシア: 2020年3月11日、国会議員の感染が確認
グアドループ: 2020年3月13日、ヨーロッパからのクルーズ船に乗船した一家の感染が確認
マヨット: 2020年3月14日、オワーズ県在住者の感染が確認
ニューカレドニア: 2020年3月19日、シドニーからの新婚旅行客の感染が確認
サンピエール島・ミクロン島: 2020年4月5日、帰国者の感染が確認
ウォリス・フツナ: 2020年10月16日、最初の感染者が確認

フランス政府の対応

感染拡大を受け、フランス政府は様々な対策を実施しました。

2月29日: クラスターが発生した地域での集会や旅行を制限
3月6日: オワーズ県とオー＝ラン県の学校、高校、大学を閉鎖
3月12日: マクロン大統領が国民に向けた演説を行い、高齢者や慢性疾患患者への自宅待機要請、教育機関の閉鎖、テレワークの推奨などを発表
3月14日: 「国民の生活にとって不可欠ではない」場所を全て閉鎖（レストラン、カフェ、映画館など）
3月16日: 全土での旅行・集会を制限。シェンゲン圏の辺境を閉鎖
3月27日: 外出自粛措置を延長
4月6日: 外出理由を証明するQRコード付き証明書の発行を開始
4月13日: マクロン大統領が外出制限の維持、学校の段階的再開などを発表
5月11日: 外出自粛の一部解除。自宅から100km圏内の移動は自由に
5月28日: 6月2日以降の措置緩和を発表（小中学校の再開、カフェ・レストランの営業再開など）
6月14日: 仏全土を緑ゾーンとし、欧州内での移動を可能に
10月14日: パリを含む9地域で夜間の外出を原則禁止
10月22日: 夜間外出禁止令の対象地域を拡大
10月28日: フランス全土で外出制限を実施
11月24日: 外出制限の緩和措置を発表（商店の再開など）
12月10日: 文化施設の規制緩和を延期
12月15日: フランス本土内における日中の外出制限を解除
2021年1月14日: 夜間外出禁止の時間帯を午後6時から午前6時までに変更
1月29日: 欧州連合（EU）域外との出入国を原則禁止
4月29日: 規制措置緩和の戦略を発表
7月12日:医療従事者等へのワクチン接種義務化を発表
* 8月9日:飲食店等の利用に対するワクチン接種証明の提示義務化を開始

日本からフランスへの入国

2020年3月17日から欧州連合 (EU) とシェンゲン圏への入境は閉鎖され、日本人を含むEU非加盟国のすべての旅行者に対してフランスへの渡航延期要請が行われました。その後、段階的に入国制限が緩和されています。

社会・経済への影響

感染症の流行は、フランスの社会・経済に大きな影響を与えました。観光業の低迷、企業の倒産、失業率の増加など、様々な問題が発生しています。

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