フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路

サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路：フランスの道

1998年、ユネスコの世界遺産リストに登録された「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路（フランスの道）」は、フランス各地に点在する歴史的建造物群と、巡礼路の一部区間から構成される複合遺産です。スペインの世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」とは別個に登録されており、フランスにおける巡礼文化の深遠さを示す貴重な証です。

登録物件：歴史的建造物群と巡礼路区間

この世界遺産は、フランス各地の建造物と、ル・ピュイの道の一部区間を含む、多岐にわたる構成要素から成り立っています。それぞれの建造物は、巡礼路の歴史における重要な役割を果たしており、中世の建築様式や技術を見事に反映しています。以下に、主な登録物件を地域別に紹介します。

アキテーヌ地域圏

ペリグーのサン＝フロン大聖堂、サン＝タヴィ＝セニウールの教会、ル・ビュイソン＝ド＝カドゥアンの旧大修道院、バザスの旧大聖堂、ボルドーのサン＝スーラン大寺院、サン＝ミシェル大寺院、サン＝タンドレ大聖堂など、数多くの宗教建築が登録されています。これ以外にも、ラ・ソーヴ＝マジュールの修道院とサン＝ピエール教会、スラック＝シュル＝メールのノートル＝ダム＝ド＝ラ＝ファン＝デ＝テル教会、エール＝シュル＝ラドゥールサント＝キトリー教会、ミミザンの鐘楼、ソルド＝ラベイのサン＝ジャン大修道院、サン＝スヴェールの大修道院、アジャンサン＝カプレ大聖堂、バイヨンヌのサント＝マリー大聖堂、ロピタル＝サン＝ブレーズの教会、サン＝ジャン＝ピエ＝ド＝ポールのサン＝ジャック門、オロロン＝サント＝マリーのサント＝マリー大聖堂など、多様な建築様式と歴史的価値を持つ建造物が含まれています。

オーヴェルニュ地域圏

クレルモン＝フェランのノートルダム＝デュ＝ポール教会、ル・ピュイ＝アン＝ヴレの大聖堂とサン＝ジャック施療院など、巡礼路の重要な拠点となった建造物が登録されています。

バス＝ノルマンディー地域圏

世界遺産「モン・サン＝ミシェルとその湾」の一部でもあるモン・サン＝ミシェル修道院が登録されています。

ブルゴーニュ地域圏

ラ・シャリテ＝シュル＝ロワールのサント＝クロワ＝ノートル＝ダム教会、アスカンのサン＝ジャック・ダスカン教会、ヴェズレーのサント＝マドレーヌ大聖堂（世界遺産「ヴェズレーの教会と丘」の一部）が登録されています。

サントル＝ヴァル・ド・ロワール地域圏

ヌーヴィー＝サン＝セピュルクルのサン＝テチエンヌ・コレジアル教会、ブールジュのサン＝テチエンヌ大聖堂（世界遺産「ブールジュ大聖堂」の一部）など、ゴシック建築の傑作が登録されています。

シャンパーニュ＝アルデンヌ地域圏

レピーヌのノートルダム寺院、シャロン＝アン＝シャンパーニュのノートル＝ダム＝アン＝ヴォー教会など、シャンパーニュ地方独特の建築様式がわかる建造物が登録されています。

イル・ド・フランス地域圏

パリのサン＝ジャック塔（サン＝ジャック＝ド＝ブシュリー教会遺跡）が登録されています。

ラングドック＝ルシヨン地域圏

サン＝ギエム＝ル＝デセールのジェローヌ旧大修道院、アニャーヌとサン＝ジャン＝ド＝フォスの悪魔橋、サン＝ジルの旧大修道院付属教会など、ロマネスク様式の優れた建築群が含まれています。

リムーザン地域圏

サン＝レオナール＝ド＝ノブラのサン＝レオナール教会が登録されています。

ミディ＝ピレネー地域圏

オードレッサンのトラムセグ教会、サン＝リジエの旧大聖堂とその回廊、司教宮、城砦、コンクのサント＝フォワ修道院付属教会とドゥルドゥー川に架かる橋、エスパリオンのポン＝ヴィュー、エスタンのロット川に架かる橋、サン＝シェリ＝ドブラックの巡礼者橋、サン＝ベルトラン＝ド＝コマンジュの旧ノートルダム聖堂と原始キリスト教バシリカ・サン＝ジュリヤン礼拝堂、トゥールーズのサン＝セルナン大寺院とサン＝ジャック施療院、ヴァルカブレールのサン＝ジュ教会、オーシュのサント＝マリー大聖堂、ボーモン＝シュル＝オッスとラレサンジュのアルティグ橋、ラ・ロミウーのコレジアル・サン＝ピエール、カオールのサン＝テチエンヌ大聖堂とヴァラントレ橋、グレアルーのペック＝ラグレールのドルメン、フィジャックのサン＝ジャック病院、ロカマドゥールのサン＝ソヴール教会のサン＝タマドゥール地下礼拝堂、アラニュエのル・プランの施療院とノートル＝ダム＝ド＝ラソンプシオン礼拝堂、ガヴァルニーの小教区教会、世界遺産「ピレネー山脈のモン・ペルデュ」の一部でもあるジュゾーのサン＝ローラン教会、ウルディ＝コトデュサンのコトデュサン教会、ラバスタンのノートル＝ダム＝デュ＝ブール教会、モワサックのサン＝ピエール修道院付属教会とその回廊など、ピレネー地方の歴史と文化を示す数多くの建造物が登録されています。

ピカルディー地域圏

アミアンのノートルダム大聖堂（世界遺産「アミアン大聖堂」の一部）、フォルヴィルのサン＝ジャン＝バチスト小教区教会、コンピエーニュのサン＝ジャック小教区教会など、フランス北部の歴史的建造物が登録されています。

ポワトゥー＝シャラント地域圏

サントのサン＝トゥトロプ教会、サン＝ジャン＝ダンジェリのサン＝ジャン＝バチスト王立修道院、メルサン＝ティレール教会、オルネイのサン＝ピエール教会、ポワチエのサン＝ティレール＝ル＝グラン教会、ポンスの旧レ・ペルラン施療院など、ポワトゥー地方の宗教建築と巡礼施設が登録されています。

プロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏

アルルのサン＝トノラ教会跡（アリスカン墓地）（世界遺産「ローマ遺跡とロマネスク様式建造物群の街アルル」の一部）が登録されています。


さらに、この世界遺産にはル・ピュイの道の一部区間も含まれています。ラングドック＝ルシヨン地域圏とミディ＝ピレネー地域圏、ミディ＝ピレネー地域圏のアキテーヌ地域圏にまたがる複数の区間が登録されており、巡礼路の実際の道筋の一部が世界遺産として保護されています。

登録基準

この世界遺産は、ユネスコの世界遺産登録基準のうち、以下の基準を満たしているとして登録されました。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
* (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの。


サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路（フランスの道）は、中世ヨーロッパにおける宗教と文化交流の重要なルートであり、数多くの歴史的建造物と巡礼路区間を通して、その歴史と文化遺産を後世に伝えています。

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