ラングドック＝ルシヨン地域圏

ラングドック＝ルシヨン地域圏：南仏の歴史と文化、そしてワイン

ラングドック＝ルシヨン地域圏は、かつてフランス南部に位置し、地中海（リオン湾）に面していた地域圏です。その名は、この地域で話されていたオック語（Langue d'Oc）に由来します。地理的には、旧ミディ・ピレネー地域圏などと隣接し、オード川が流れる自然豊かな場所でした。

歴史と文化の交差点

この地域圏は、歴史的に様々な影響を受けてきました。1659年のピレネー条約によってフランス領となったカタルーニャの一部（ルシヨンとサルダーニャ）を抱えていたため、カタルーニャ文化が色濃く残っています。また、フランス革命前の古い県であるジェヴォーダンの一部も含まれており、多様な文化が混ざり合っていました。

2016年1月1日、ラングドック＝ルシヨン地域圏はミディ＝ピレネー地域圏と統合し、新たにオクシタニー地域圏として生まれ変わりました。

産業と経済

ラングドック＝ルシヨン地域圏は、日本の近畿地方ほどの広さを持ち、新潟県と同程度の人口を抱えていました。主要な産業は農業であり、その他に造船、石油精製、鉄鋼、電子機器製造なども盛んでした。付近の海域では天然ガスやウラン鉱が産出され、フランスのエネルギー供給を支えていました。工業の発達に伴い、スペイン、ポルトガル、北アフリカからの移住者が増加する傾向にありました。

ワイン産地としてのラングドック＝ルシヨン

温暖で乾燥した地中海性気候は、ぶどう栽培に非常に適しています。しかし、その恵まれた環境が災いし、かつては安価なテーブルワインの産地として知られていました。「お茶がわり」や「歯磨き用」と揶揄されるほど、普段飲むためのワインが大量に生産されていたのです。

しかし、国民の生活水準の向上とともに、安ワインの需要は減少。ワインの品質向上が叫ばれるようになり、1980年前後からAOCクラスの高品質なワインが数多く作られるようになりました。ボルドーなど他の地域から、自由な発想でワイン造りに取り組みたいという優れた醸造家たちが移住してきたことも、品質向上に大きく貢献しました。現在では、ラングドック＝ルシヨン地域圏のワインは、国際的にも高い評価を得るようになっています。

主要都市

ペルピニャン
ニーム
* カルカソンヌ

ラングドック＝ルシヨン地域圏は、その豊かな歴史、多様な文化、そして近年品質が向上したワインによって、フランスの中でも魅力的な地域の一つでした。オクシタニー地域圏となった今も、その魅力は失われることなく、新たな発展を続けています。

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