フランス領コモロ

フランス領コモロ：植民地時代の歴史と独立への道

フランス領コモロ（フランス語: Territoire des Comores）は、かつてコモロに存在したフランスの植民地です。その歴史は19世紀に遡り、コモロ諸島の島々がフランスの支配下に入ることから始まります。

設立の背景

1843年6月、マヨット島がコモロ諸島で最初にフランスの植民地となりました。その後、1880年代から1890年代にかけて、グランドコモロ島、アンジュアン島、モヘリ島の3つの島もフランスの保護領となり、1912年には正式に植民地化されました。

1912年から1946年まで、これらの4つの島はマダガスカルとともに「マダガスカル植民地及び属領」として統治されていました。この間、コモロはフランスの行政制度に組み込まれ、経済的にもフランスとの結びつきを強めていきました。

海外領土への移行と自治の拡大

1946年、コモロ諸島はフランスの海外領土となり、首都はマヨット島のザウジに置かれました。また、4島すべての代表を含む「コモロ領土議会」が設立され、コモロの政治参加への道が開かれました。

1952年には独自の関税制度を確立し、1958年の住民投票では圧倒的多数がフランス領に留まることを支持しました。これにより、自治を認める憲法が制定され、コモロは徐々に自治権を拡大していきました。

独立運動の高まり

1960年代に入ると、コモロの政治は植民地以前のスルタン家の子孫が主導するようになります。彼らは保守的で親仏的な立場を取りましたが、一方で独立を求める声も高まっていきました。

1962年には、タンザニア在住のコモロ人たちが「コモロ国民解放運動（MOLINACO）」を結成し、海外でコモロの独立を訴えました。また、国内でも若者を中心に独立支持の声が強まり、親仏的な支配層も独立を「避けられないが残念なもの」として受け入れ始めました。

独立への決断

1972年、緑の党と白の党の指導者たちが独立を推進することで合意し、同時にフランスとの良好な関係を維持することを目指しました。そして、1974年12月22日には、コモロ諸島の4つの島で独立を問う国民投票が実施されました。

その結果、3つの島は独立を支持しましたが、マヨット島はフランスの海外県として残ることを選択しました。この結果を受けて、コモロ議会は1975年7月6日に一方的に独立を宣言する決議を採択しました。

独立後の課題

フランス政府は1975年12月31日にグランドコモロ島、アンジュアン島、モヘリ島の独立を承認しましたが、マヨット島には言及しませんでした。その後、1976年2月にマヨット島でフランス領にとどまるかを問う住民投票が実施され、圧倒的多数がフランス残留を支持しました。

コモロは独立後、政治的な混乱や経済的な困難に直面しましたが、国際社会の支援を受けながら国家建設を進めてきました。しかし、マヨット島の帰属問題は依然として解決されておらず、フランスとの関係において複雑な要素となっています。

フランス領コモロの歴史は、植民地支配、独立運動、そして独立後の国家建設という一連の過程を通じて、コモロのアイデンティティを形成する上で重要な役割を果たしました。

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