フランソワ＝ジョアシャン・ド・ピエール・ド・ベルニ

フランソワ＝ジョアシャン・ド・ピエール・ド・ベルニ（1715年5月22日 - 1794年11月3日）は、フランス王国の枢機卿であり、外交官として重要な役割を果たしました。

生涯

1715年、ベルニは貧しい貴族の家に生まれました。彼は長男ではなかったため、当時の慣習に従い聖職者の道へ進みます。リセ・ルイ＝ル＝グラン、そしてサン・シュルピス教会の神学校で学びましたが、19歳の時に聖職者の道から離れ、貴族の家柄を利用して裕福な家族との関係を築こうと試みました。1744年にはアカデミー・フランセーズ会員に選出されますが、家計の問題を完全に解決するには至りませんでした。

この頃、ポンパドゥール夫人に紹介されたことが転機となります。夫人はベルニにテュイルリー宮殿での住居と年金を与え、その繋がりで1751年にはヴェネツィア駐在フランス大使の職を得ることに成功しました。

ヴェネツィア駐在中、ベルニはヴェネツィア共和国とローマ教皇ベネディクトゥス14世の間の紛争調停に尽力し、教皇の信頼を得ました。この功績により副助祭に叙階され、1755年に帰国した際には教皇領の国務大臣に任命されます。七年戦争直前の仏墺同盟交渉にも関わりましたが、ベルニ自身は同盟を一時的なものと捉え、フランス軍を大規模な戦争に投入することには消極的でした。

1757年6月28日、ベルニはルイ15世によって外務大臣に任命されます。しかし、ポンパドゥール夫人らの浪費的な政策に反対したため、1758年12月にはルイ15世によってソワソンへ追放され、6年間をそこで過ごしました。追放直前に枢機卿に叙任されています。1764年にポンパドゥール夫人が亡くなると、ベルニは呼び戻され、再び外務大臣への就任を打診されますが、これを辞退し、アルビ大司教に就任しました。

1769年のローマ教皇選挙では、ローマでクレメンス14世の当選を支援したため、ローマ駐在フランス大使に任命され、そこで余生を送ることになります。イエズス会の弾圧を推進したため、イエズス会を支持するピウス6世の治世下では疎まれました。フランス革命が勃発すると、革命に敵対したことでほぼ無一文となりますが、かつてのイエズス会弾圧の功績を覚えていたスペイン宮廷から年金を与えられ、救済されました。

1794年11月3日、ベルニはローマで生涯を終え、サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会に埋葬されました。1803年には、ニームの聖堂に改葬されています。彼の死後、数十年を経た1878年に、ベルニの回想録が出版され、その生涯が改めて注目を集めました。

もう一度検索