サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会

サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会：ローマにおけるフランスの歴史と芸術の象徴

サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会（San Luigi dei Francesi）は、ローマのナヴォーナ広場近くに位置する小バシリカであり、ローマに住むフランス人のための国民教会です。聖母マリア、聖ドニ、フランス王ルイ9世に捧げられています。16世紀にジャコモ・デッラ・ポルタの設計、ドメニコ・フォンターナの完成により建設され、カトリーヌ・ド・メディシスの支援も受けました。

歴史

教会の歴史は、9世紀にサラセン人の侵略から逃れてきたファルファ修道院の修道士たちがローマに移住したことに遡ります。彼らは教会や住居、風車などを所有し、15世紀にはサンタ・マリア教会を聖ルイ教会と改称しました。16世紀初頭、枢機卿ジュリオ・デ・メディチがフランス人コミュニティのために教会建設を委任しましたが、ローマ略奪によって一時中断。16世紀末にドメニコ・フォンターナによって完成し、18世紀には内装が改装されました。現在、教会はPieux Etablissements de la France à Rome et à Loretteという財団によって管理されています。

外観

ファサードはジャコモ・デッラ・ポルタによって設計され、本体構造とは独立した装飾が特徴的です。フランスの歴史を象徴するカール大帝、聖王ルイ、聖クロティルダ、聖ジャンヌ・ド・ヴァロワなどの彫像が設置されています。内部にはシャルル＝ジョゼフ・ナトワールによるフレスコ画があり、聖ルイ9世、聖ドニ、クローヴィス1世の物語が描かれています。

内部

教会内には、ドメニキーノの代表作である聖セシリアを描いたフレスコ画をはじめ、ジュゼッペ・チェザーリ、ジローラモ・ムツィアーノなど、多くの芸術家による作品が展示されています。

コンタレッリ礼拝堂

特に有名なのは、コンタレッリ礼拝堂にあるカラヴァッジオによる一連の絵画です。バロック絵画の先駆けとなったこれらの作品は、16世紀末から17世紀初頭にかけて制作され、「聖マタイの召命」、「聖マタイと天使」、「聖マタイの殉教」の3枚で構成され、聖マタイの生涯を描いています。

墓所

教会には、高位聖職者やローマ在住のフランス人が埋葬されています。シャトーブリアンが墓を立てたポーリーヌ・ド・ボーモン、経済学者のフレデリック・バスティア、ルイ15世とルイ16世の在ローマ大使を務めた枢機卿 François-Joachim de Pierre de Bernis などが眠っています。

サン・ルイジ・デイ・フランチェージ宮殿

教会に隣接するサン・ルイジ・デイ・フランチェージ宮殿は、18世紀初頭に建てられたバロック建築の建物です。「フランス教団の回復と資金のない巡礼者のために」建設されました。玄関にはチェーザレ・ボルジアの顔と伝えられるキリストの胸像があり、内部にはフランス歴代の王の肖像画が飾られたギャラリーや音楽堂があります。

サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会は、ローマにおけるフランスの歴史、文化、そして芸術が融合した場所です。訪れる人々は、その美しい建築、貴重な芸術作品、そしてそこに眠る人々の物語に触れることができるでしょう。

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