フランチェスコ・フォスカリ

フランチェスコ・フォスカリ（1373年 - 1457年11月1日）は、ヴェネツィアの元首（ドージェ）として、イタリア・ルネサンスの最盛期にその手腕を発揮しました。1423年から1457年までの長きにわたりヴェネツィアを統治し、その治世は多くの出来事に彩られています。

フォスカリの時代、ヴェネツィアはミラノ公国（ヴィスコンティ家）との間で、イタリア全土の覇権を争う激しい戦いを繰り広げました。連戦連勝を重ねる一方で、戦争による犠牲もまた増大しました。フィレンツェとの同盟を結んだ後、連合軍はフランチェスコ・スフォルツァ率いるミラノ軍を破りました。しかし、スフォルツァがフィレンツェと停戦した後も、ヴェネツィアは単独で戦わざるを得ませんでした。

フォスカリの治世は、家庭内の悲劇にも見舞われました。1445年、息子のヤコポが贈収賄と汚職の罪で十人委員会に告発され、ヴェネツィアから追放されました。その後、1450年と1456年にも審理が行われ、ヤコポは最終的にクレタ島に流刑となり、そこで命を落としました。

息子の死の知らせは、フォスカリ自身を政府の要職から退かせるきっかけとなりました。1457年10月、十人委員会はフォスカリに辞任を要求。フォスカリはこれに抵抗しましたが、最終的には十人委員会の決定に従わざるを得ませんでした。10月31日、新たな元首としてパスクワル・マリピエロが選出され、その翌日、11月1日にフォスカリは亡くなりました。この一連の出来事は、ヴェネツィア市民の間で大きな抗議運動を引き起こし、結果としてフォスカリは国葬の礼をもって弔われることになりました。

フォスカリの生涯は、後世の芸術家たちにも影響を与えました。特に有名なのが、イギリスの詩人バイロンの戯曲『二人のフォスカリ』です。この作品は、フォスカリの波乱に満ちた生涯を題材にしています。そして、このバイロンの戯曲を元に、ジュゼッペ・ヴェルディがオペラ『二人のフォスカリ』（I Due Foscari）を作曲しました。このオペラは1844年11月3日に初演され、今日でも世界中で上演されています。

このように、フランチェスコ・フォスカリはヴェネツィアの歴史において重要な人物であり、その生涯は数々のドラマに彩られています。彼は、ヴェネツィアの繁栄と苦難の両方を経験し、その遺産は後世にまで受け継がれています。

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