フランチェスコ・スフォルツァ:ルネサンス期を彩った傭兵隊長、そしてミラノ公
フランチェスコ・スフォルツァ(
1401年7月23日 -
1466年3月8日)は、15世紀のイタリア、
ルネサンス期に名を馳せた傭兵隊長(
コンドッティエーレ)であり、
スフォルツァ家の初代
ミラノ公です。卓越した軍事的手腕と政治力で、激動の時代を生き抜き、
ミラノに繁栄をもたらしました。彼の生涯は、後世の思想家や政治家にも大きな影響を与えました。
生い立ちと初期の軍歴
フランチェスコは、有力な傭兵隊長ムーツィオ・アッテンドロの庶子として生まれました。幼少期はフェッラーラの宮廷近くで過ごし、11歳で父と共に
ナポリに移りました。
ナポリ王ラディズラーオ1世によって
騎士に叙任され、トリカーリコ伯に封じられます。16歳で早くも軍事的才能を発揮し、傭兵隊長タルタリアとの戦いで頭角を現しました。
1418年には、カラブリアの貴族の娘ポリッセナ・ルッフォと結婚しましたが、彼女は娘アントニア・ポリッセナを出産後、間もなく亡くなります。
1424年に父が死去すると、フランチェスコは父の遺産を継承し、
ナポリでの戦いを終結させます。
1425年、フランチェスコは
ミラノ公国の
フィリッポ・マリーア・ヴィスコンティに仕えるようになります。しかし、両者の関係は必ずしも良好ではなく、ヴィスコンティ公はスフォルツァの強い個性に苦慮しました。幾度かの戦いで勝利を収め、公国の危機を救ったスフォルツァは、その功績により、ヴィスコンティ公の庶出の娘ビアンカ・マリーアとの結婚を許されます。
1447年にヴィスコンティ公が後継者を残さずに亡くなると、
ミラノでは共和制政府(アンブロジアーナ黄金共和国)が樹立されました。しかし、
1450年、長きにわたる包囲戦の末、スフォルツァは
ミラノに入城し、実質的に支配権を握りました。
ミラノ公としての統治
ミラノ公となったスフォルツァは、都市の近代化や効率的な税制を導入し、政府収入を大幅に増加させました。彼の統治は、都市の繁栄をもたらし、
ミラノの人々から広く支持されました。また、彼の宮廷は芸術と文化の中心地となり、多くの芸術家や文化人を惹きつけました。
スフォルツァの軍隊には、後に
ヴェネツィア共和国の将軍となるバルトロメーオ・コッレオーニなどの有能な傭兵隊長がいました。また、フィレンツェのコジモ・デ・メディチとの友好関係を築き、ヴェネツィアとのローディの和を成立させました。
後世への影響
ニッコロ・マキャヴェッリは『
君主論』の中で、スフォルツァを優れた統治者の例として引き合いに出し、傭兵隊の利用に対する戒めとしました。スフォルツァの生涯は、政治と軍事の結びつき、そして指導者の資質について、後世に多くの教訓を与え続けています。
スフォルツァの署名と家族
フランチェスコ・スフォルツァは、結婚してヴィスコンティの姓を許されるまで、フランチェスコスフォルツァ・デッリ・アッテンドリと名乗り、その後はフランチェスコスフォルツァ・ヴィスコンティと署名しました。
最初の妻ポリッセナ・ルッフォとの間に1女をもうけましたが、すぐに死別しました。その後、
1441年に
ビアンカ・マリーア・ヴィスコンティと再婚し、多くの子をもうけました。息子たちの中には、後に
ミラノ公となるガレアッツォ・マリーアやルドヴィーコ・マリーアがいます。
その他の子どもたち
ジョヴァンナ・ダックアペンデンテとの間に以下の庶子をもうけました。
トリスターノ(1422年 - 1477年)
ポリッセナ(
1428年 -
1449年)
スフォルツァ・セコンド(1433年 - 1492/3年)
ドリュシアナ(
1437年 -
1474年)
関連事項
スフォルツァ家
ミラノ公国
バルトロメーオ・コッレオーニ
スフォルツァ騎馬像
* ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット
フランチェスコ・スフォルツァは、卓越した軍事力と政治手腕を兼ね備えた
ルネサンス期の傑出した人物です。傭兵隊長として名を馳せ、
ミラノ公としてその繁栄を築き上げた彼の生涯は、歴史に深く刻まれています。