フランツ・フェルディナンド (バンド)

フランツ・フェルディナンド：ダンスとロックの融合を体現するスコットランドの雄

フランツ・フェルディナンドは、スコットランドのグラスゴーで結成されたロックバンドです。その音楽は、アートスクール的な感性とポップな編集感覚が融合し、「ダンスとポップの垣根を取り払った」と評されます。一見すると伝統的なロックンロールの要素を持ちながらも、エレクトロクラッシュの影響を受けたダンサブルなリズムを取り入れ、ダンスフロアでも機能するサウンドを実現しています。

音楽的特徴

ポストパンクからの影響を消化したギターカッティングが特徴的ですが、ヴィンテージシンセサイザーを用いたアナログシンセラインも多用し、レトロフューチャーなシンセポップやニューウェーブへの傾倒も見られます。これらの要素が複雑に絡み合い、独特の音楽性を形成しています。

バンドの来歴

バンドは、グラスゴーのアート系大学の同級生であったアレックス・カプラノスとボブ・ハーディを中心に結成されました。アレックスがベースを譲り受けたことをきっかけに、画家志望だったボブを説得し、バンド活動を開始。ドラマーには、アレックスと以前バンドを組んでいたポール・トムソン、ギタリストにはニコラス・マッカーシーが加わり、2001年に正式にバンドとして始動しました。

初期は地元のパブなどでライブ活動を重ね、インディーズシーンで注目を集めました。シングル「テイク・ミー・アウト」が爆発的な反響を呼び、デビューアルバムリリース前にもかかわらず、NME誌をはじめとするメディアから大きな注目を集めました。

2004年に発表されたデビューアルバム『フランツ・フェルディナンド』は、イギリスのみならずヨーロッパ各国、そしてアメリカでも大ヒット。全世界で400万枚以上のセールスを記録し、グラミー賞ノミネートやブリット・アワードなど、英国の主要な音楽賞を新人としては史上初となる同時受賞という快挙を成し遂げました。

2005年にリリースした2ndアルバム『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』も全英1位を獲得。「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ」や「ザ・フォーラン」などのヒットシングルも生まれ、ロックファンだけでなくクラブミュージックリスナーからも支持を集め、確固たる人気を築きました。

その後もメンバーチェンジを経ながら活動を続け、2000年代のUKロックシーンを代表するバンドの一つとして、確固たる地位を確立しています。2016年にはニック・マッカーシーが脱退、2017年にはディーノ・バルドーとジュリアン・コリーが加入し、五人体制となりました。2021年にはポールの脱退に伴い、オードリー・テートが加入しています。

バンドの裏側

フランツ・フェルディナンドは、成功したイギリスのインディーロックバンドの中でも、特に下積み時代が長いことで知られています。メンバーはそれぞれ、以前所属していたバンドでの活動経験があり、特にアレックスは3度目のデビューでした。デビュー間もない頃には、前座にブロック・パーティーを抜擢し、彼らのブレイクを後押ししたというエピソードもあります。

フロントマンのアレックスとニックの関係性については、ゲイであるという噂も囁かれており、それを想起させる歌詞の楽曲も存在します。

アレックスは、自身の音楽観について「ザ・フォールもP.I.Lもポップに聴こえる」と発言しており、実験的な音楽を好みながらも、結果的にポップな楽曲を生み出すというバンドの姿勢が表れています。

バンド名の由来は、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件で暗殺されたフランツ・フェルディナント・フォン・エスターライヒ＝エステからきており、響きの良さから選ばれたそうです。

ライブパフォーマンス

フランツ・フェルディナンドのライブパフォーマンスも特徴的です。セカンドアルバムのツアーでは、「アウトサイダーズ」演奏時に、他のバンドメンバーをステージに招き、大人数でドラム乱打を行うパフォーマンスを披露しました。フジロックフェスティバルでも同様のパフォーマンスを披露し、観客を魅了しました。

「ウォーク・アウェイ」の演奏時には、ドラムのポールがギターを担当し、アレックス、ニックと共にトリプルギターを披露することがあります。

2009年の東京国際フォーラム公演では、終盤に「Ulysses」を演奏した際、観客が総立ちになり、オールスタンディングのライブハウスのような熱気に包まれました。

メンバーからの評価

フランツ・フェルディナンドは、他のミュージシャンからも高い評価を受けています。ボン・ジョヴィのリッチー・サンボラは「彼らの曲は大好きで、ステージで一緒にプレイしたい」と語っています。ブラーのグレアム・コクソンは「彼らの音楽は80年代の音楽へのノスタルジアを感じさせる」とコメント。また、野宮真貴は「ギターフレーズがトーキング・ヘッズを彷彿とさせる」と評しています。

メンバー構成

アレックス・カプラノス (Alex Kapranos)：ボーカル、ギター、キーボード。バンドのフロントマンであり、ソングライティングを担当。
ボブ・ハーディ (Bob Hardy)：ベース。バンド結成の中心人物。
ディーノ・バルドー (Dino Bardot)：ギター、バッキングボーカル。ニックの後任として加入。
ジュリアン・コリー (Julian Corrie)：キーボード、ギター、バッキングボーカル。ニックの後任として加入。
オードリー・テート (Audrey Tait)：ドラム、パーカッション。ポールの後任として加入。

旧メンバー

ニック・マッカーシー (Nick McCarthy)：ギター、キーボード、バックボーカル。アレックスと並んでツインボーカルのような役割を担っていました。
* ポール・トムソン (Paul Thomson)：ドラム、ギター。フランツ・フェルディナンド結成前はThe Yummy Furのドラマーでした。

ディスコグラフィー

フランツ・フェルディナンドは、数々のアルバムをリリースしており、その音楽性は常に進化を続けています。

まとめ

フランツ・フェルディナンドは、その独特な音楽性とライブパフォーマンスで多くのファンを魅了し続けています。ダンスとロックを融合させた彼らのサウンドは、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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