フランツ・ヨーゼフ・シュトラウス

フランツ・ヨーゼフ・シュトラウスの生涯と政治



フランツ・ヨーゼフ・シュトラウス(Franz Josef Strauß, 1915年9月6日 - 1988年10月3日)は、ドイツ政治家であり、キリスト教社会同盟(CSU)の党首、バイエルン州首相を長きにわたり務めました。西ドイツの保守政治家として大きな影響力を持ち、「ヨーロッパのストロング・マン」として知られています。また、CSUの政治家欧州議会議員であるモニカ・ホールマイアーは彼の娘です。

生い立ちと教育



1915年ミュンヘンで肉屋の次男として生まれたシュトラウスは、幼少期から学業に優れ、ギムナジウムでは常にトップクラスの成績を収めていました。大学では、ギリシャ語、ラテン語歴史学ドイツ文学、経済学などを学びました。大学在学中には、国家社会主義ドイツ学生同盟(NSDStB)に加入を余儀なくされました。第二次世界大戦勃発後は、兵役につき、東部戦線などで転戦しました。戦時中には教員資格を取得し、終戦時には国防軍中尉でした。終戦後、名前をフランツ・ヨーゼフ・シュトラウスに改名しました。1957年にはマリアンネ・ツヴィックナーグルと結婚し、3人の子供をもうけました。

政界入りと初期の活躍



戦後、アメリカ軍占領下のミュンヘンで政治活動を開始し、バイエルン州における保守政党の設立に尽力し、キリスト教社会同盟(CSU)を結成しました。1949年に西ドイツが発足すると、連邦議会選挙に初当選し、以後11回当選しました。CSUの幹事長として、姉妹政党であるキリスト教民主同盟(CDU)との連携を強化しました。1952年には、連邦議会で倒れたコンラート・アデナウアー首相を救出したことで、その行動力と決断力を印象付けました。1953年にはアデナウアー内閣で無任所大臣として入閣し、その後、原子力担当相、国防相を歴任しました。国防相としては、新設されたドイツ連邦軍の増強に尽力しました。1961年にはCSU議長に選出されています。

シュピーゲル事件とその影響



シュトラウスの政治生活における大きな転換点となったのが、1962年のシュピーゲル事件です。週刊誌『デア・シュピーゲル』がドイツ連邦軍の演習を批判したことに対し、シュトラウスは記事を執筆した記者と社長を拘束するという強硬手段に出ました。この行為は世論の猛反発を招き、シュトラウスは国防相を辞任せざるを得なくなりました。この事件は、彼の政治キャリアに大きな傷跡を残すこととなりました。

その後の政治活動



国防相辞任後、シュトラウスは2年間インスブルック大学で財政学を学びました。1966年には、クルト・ゲオルク・キージンガー内閣で財務大臣として入閣し、SPDのカール・シラー経済相と共に景気対策に取り組みました。1969年ヴィリー・ブラント率いるSPD・FDP連立政権が成立すると、シュトラウスはこの政権の東方外交を厳しく批判しました。1975年には中国を訪問し、毛沢東と会談しました。1980年の総選挙では、CDU・CSUの統一首相候補として立候補しましたが、SPDのヘルムート・シュミット首相に敗れました。

ヘルムート・コールとの関係



シュトラウスは、ヘルムート・コールのリーダーシップを批判し続けましたが、個人的な悪感情があったわけではありませんでした。コールにとって、シュトラウスの言動は耳の痛いものであったでしょう。

ヨーロッパ合衆国構想



シュトラウスは、著書『グランド・デザイン』の中で、将来の欧州統合について論じています。彼は、ヨーロッパ合衆国の設立を提唱し、欧州統合の推進を訴えました。

死去



1988年10月1日、トゥルン・ウント・タクシス公爵家の狩場へ自家用機で向かう途中に心臓発作を起こし、10月3日レーゲンスブルクの病院で死去しました。

フランツ・ヨーゼフ・シュトラウスは、その強烈な個性と政治手腕で、西ドイツ政治において重要な役割を果たしました。彼の生涯は、ドイツの戦後史を語る上で欠かせないものと言えるでしょう。

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