フラーテス3世

フラーテス3世について

フラーテス3世（Phraates III、紀元前70年/69年 - 紀元前58年/57年）は、アルサケス朝パルティア王国の著名な王であり、シナトルケスの息子です。彼の治世は、複雑な国際情勢を背景にした外交活動が特徴的であり、古代世界の歴史を彩った重要な瞬間が数多く存在しました。

生涯と治世の始まり

フラーテス3世は、父シナトルケスの死後、紀元前70年または紀元前69年に王位を継承しました。その当時、ローマの影響力が中東地域に拡大しており、パルティアはポントス王国のミトリダテス6世やアルメニア王国のティグラネス2世と連携を模索していました。彼らはローマに対抗するため、フラーテス3世に援助を求め、対価として「七十ヵ所の渓谷」を差し出す提案をしました。

重要な外交交渉

フラーテス3世は、ミトリダテス6世とティグラネス2世との協定を結ぶことにより、メソポタミアへの共同攻撃を計画しました。しかし彼は、ローマの将軍ルクルスの動向を警戒し、援助を自ら提供することをためらいました。ルクルスは、パルティアの動向を探るために使節を派遣しますが、フラーテス3世はその意図を察知し、慎重な姿勢を崩しませんでした。このように、フラーテス3世の外交政策は常にローマを意識していたものの、彼自身の利害を優先させる結果となりました。

転機となった出来事

紀元前66年には、ポンペイウスがフラーテス3世との協定を結び、パルティアの中立が認められました。しかし、その後、アルメニア王国の小ティグラネスが父に対する反乱に失敗し、フラーテス3世の庇護を求めました。フラーテス3世は一度は躊躇しますが、結局は彼の要求に応じることになりました。

その後、フラーテス3世はアルメニアのティグラネス2世を包囲しましたが、戦闘が長引く中で帰国してしまいます。この間、アルメニアの戦況が変わり、結局小ティグラネスは逃げ込んだローマのポンペイウスに助けを求めることとなり、最終的にはティグラネス2世が降伏しました。これにより、フラーテス3世は一時的に利益を得るものの、後の権力闘争に巻き込まれていくことになります。

最後の日々

フラーテス3世の治世は、彼自身の息子たちオロデスとミトラダテスによって最期を迎えることとなります。紀元前58年または紀元前57年、彼は自身の後継者たちによって暗殺され、パルティア王国はさらなる不安定な時代に突入しました。

まとめ

布ラーテス3世の生涯は、古代中東の武力だけでなく、策略と外交の重要性を浮き彫りにする様々な出来事で成り立っています。彼の王国における行動は、後の歴史にも影響を与えることとなり、パルティアの時代を象徴する人物として記憶されています。

もう一度検索