アルメニア王国

アルメニア王国

アルメニア王国は、紀元前190年から紀元前66年まで独立して存在し、その後もローマとペルシア帝国に従属しました。特に301年には世界初の国教としてキリスト教を採用し、大アルメニア王国とも称される歴史的な国家です。

歴史

独立までの道のり

アルメニアの地はかつて、アケメネス朝、アレクサンドロス帝国、セレウコス朝の州として支配されていました。交易を担当していたアルメニア人は、周辺地域との交流を通じて重要な役割を果たしていました。紀元前223年から紀元前187年まで君主であったセレウコス朝のアンティオコス3世がローマ軍に敗北した後、アルメニアのサトラップであったアルタクシアスとザリアドレスが独立を宣言し、それぞれアルメニア王国とソフィーネ王国を立ち上げました。

アルタクシアス朝の創立

アルメニア王国は、創設者アルタクシアス1世にちなんでアルタクシアス朝と名付けられました。この王朝は紀元前189年から紀元前66年まで続き、アルメニア語が公用語として定められました。ただし、文字としてのアルメニア文字は後の世に発展したものであり、初期の記録は残っていません。彼の在位中には、統一に向けた努力もありましたが、実現には至りませんでした。

栄光の時代

アルタクシアス朝の後、ティグラネス2世が登場しました。彼は「王の中の王」と称され、アルメニアの領土を広げるため遠征を行い、最盛期を迎えました。ティグラネス2世はパルティアから支配権を得るとともに、コーカサス地域の多くを征服し、アルメニアに強大な王国としての地位を確立しました。しかし、彼の治世の末期にはローマとの対立から一部領土を放棄し、ローマの同盟国として承認されることとなりました。

ローマとペルシアとの関係

ローマは、アルメニア王国と同盟を結びましたが、55年から63年にかけてパルティアと戦い、王位を再びティリダテス1世に復位させました。この時期、アルメニアはローマとパルティアの対立の舞台となり、王位継承には両国の影響が色濃くなりました。160年代にはペルシアの侵略を受け、しばらくの間王国はペルシアの支配下に置かれました。

王国の衰退

王国は384年に分裂し、西アルメニアはローマの属州、小アルメニアとなり、東アルメニアはペルシアの支配を受けることになりました。最終的に、アルメニアでは301年にキリスト教が国教とされ、その信仰は広まりを見せました。こうした状況下でも、キリスト教はローマとペルシアの領域でも根付くことになります。

言語と文化

紀元前2世紀までのアルメニアではアルメニア語が広く使われており、現在のアルメニア人の言語的な祖先とも言えます。また、今日のアルメニアは、その歴史を通じて世界初のキリスト教国教化を実現した重要な文化的背景を持っています。

歴代君主

アルタクシアス朝からアルサケス朝など、多くの王が歴代で王国を治めてきました。特にアルタクシアス1世やティグラネス2世はその名を歴史に残し、関連する文献や研究が今でも行われています。最後の時代まで影響を及ぼした君主たちは、アルメニアの歴史を彩る重要な存在でした。

このように、アルメニア王国は古代の広範囲にわたる影響力を持ちつつ、独自の文化と歴史を築いてきた国家でした。

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