フリー (バンド)

フリー (Free): ブルースを基盤とした英国ハードロックの先駆者

フリーは、1960年代後半にイングランドで結成されたロックバンドです。ブルースの要素を取り入れたハードロックサウンドを特徴とし、その音楽性は後の多くのバンドに影響を与えました。特に、1970年に発表された「オール・ライト・ナウ」は世界的なヒットを記録し、現在でもロックの定番として広く親しまれています。

バンドの歴史

1968年、ポール・ロジャース（ボーカル）、ポール・コゾフ（ギター）、アンディ・フレイザー（ベース）、サイモン・カーク（ドラムス）の4人によって結成されました。彼らは、ブルースを基調とした重厚なサウンドを追求し、初期ハードロックのスタイルを確立しました。

前期 (1968年 - 1971年)

フリーは、1970年にアルバム『ファイアー・アンド・ウォーター』を発表し、その収録曲である「オール・ライト・ナウ」が世界的な大ヒットとなりました。この曲は、彼らの代表曲としてだけでなく、ロック史に残る名曲の一つとして知られています。1970年8月にはワイト島音楽祭にも出演し、そのパフォーマンスは高い評価を受けました。1971年には初の来日公演も行いましたが、同年、バンドは一度解散することになります。

後期 (1972年 - 1973年)

1972年、メンバーは再結成を果たします。アルバム『フリー・アット・ラスト』を制作しますが、フレイザーが脱退。山内テツが後任として加入しました。しかし、コゾフのドラッグ問題などから活動は不安定となり、その後、コゾフが離脱。ロジャースがギターを兼任し、ラビットを迎えた編成で活動を継続します。同年7月には2度目の来日公演も行いましたが、1973年1月にアルバム『ハートブレイカー』を発表後、アメリカツアーを経て、バンドは自然消滅のような形で解散しました。

解散後の活動

フリー解散後、ロジャースとカークはバッド・カンパニーを結成し、フリーの音楽性を継承しながらも、よりシンプルで洗練されたサウンドでアメリカ市場で成功を収めました。

コゾフはソロ活動を行い、アルバムを発表しましたが、1976年に25歳という若さで急逝しました。フレイザーもまた、別のバンドを結成するなど音楽活動を続けましたが、2015年に病没しています。山内テツはフェイセズに加入、ラビットは本名で様々な音楽活動を行いました。

音楽性と評価

フリーは、ブルースとソウルを融合させた独特のサウンドで、初期ハードロックのスタイルを築き上げました。特に、ロジャースのソウルフルなボーカルと、コゾフのブルージーなギタープレイは、彼らの音楽を特徴づける重要な要素となっています。

イギリスでは伝説的なバンドとして高く評価され、日本でも根強い人気を誇ります。一方、アメリカでは「オール・ライト・ナウ」はヒットしたものの、全体的な人気は定着しなかったようです。

エピソード

オリジナルメンバーが初めて共演した際、演奏した曲はリトル・リチャードの「Good Golly, Miss Molly」でした。このエピソードは、彼らのルーツがブルースや初期ロックンロールにあることを示唆しています。

メンバー

オリジナルメンバー
ポール・ロジャース (Paul Rodgers) – リードボーカル、ギター、キーボード (1968年–1971年、1972年–1973年)
ポール・コゾフ (Paul Kossoff) – ギター (1968年–1971年、1972年、1972年–1973年) ※1976年死去
アンディ・フレイザー (Andy Fraser) – ベース、キーボード (1968年–1971年、1972年) ※2015年死去
サイモン・カーク (Simon Kirke) – ドラム、パーカッション (1968年–1971年、1972年–1973年)
後期加入メンバー
ジョン・"ラビット"・バンドリック (John "Rabbit" Bundrick) – キーボード、ピアノ (1972年—1973年)
山内テツ (Tetsu Yamauchi) – ベース (1972年–1973年)
ウェンデル・リチャードソン (Wendell Richardson) - ギター (1973年)

ディスコグラフィ

スタジオアルバム

『トンズ・オブ・ソブス』 - Tons Of Sobs (1969年)
『フリー』 - Free (1969年)
『ファイアー・アンド・ウォーター』 - Fire And Water (1970年)
『ハイウェイ』 - Highway (1970年)
『フリー・アット・ラスト』 - Free At Last (1972年)
『ハートブレイカー』 - Heartbreaker (1973年)

ライブアルバム

『フリー・ライヴ』 - Free Live! (1971年)
『ライヴ・アット・ザ・BBC』 - Live at the BBC (2006年)

コンピレーションアルバム

『ザ・フリー・ストーリー』 - The Free Story (1974年)
Best of Free (1974年)
『フリー・ベスト』 - Free & Easy, Rough & Ready (1976年)
Completely Free (1982年)
『オール・ライト・ナウ!!』 - The Best of Free: All Right Now (1991年)
『モルテン・ゴールド・ジ・アンソロジー』 - Molten Gold: The Anthology (1993年)
Walk in My Shadow: An Introduction to Free (1998年)
Songs of Yesterday (2000年)
All Right Now (2001年)
『フリー』 - Classic Free (2001年)
20th Century Masters – The Millennium Collection: The Best of Free (2002年)
Chronicles (2005年)
Walking in My Shadow: The Free Collection (2007年)
Rock Legends (2008年)
『ベスト・オブ・フリー & バッド・カンパニー・イヤーズ』 - The Very Best of Free & Bad Company Featuring Paul Rodgers (2010年)
Wishing Well: The Collection (2010年)
All Right Now: The Collection (2012年)

日本公演

1971年4月30日東京・神田共立講堂、5月1日東京・サンケイホール
1972年7月22日東京・後楽園球場、7月24日兵庫・阪神甲子園球場
エマーソン・レイク・アンド・パーマーとのジョイント・コンサート。

外部リンク

Free - The Official Website
フリー - Myspace
Paul Rodgers Official Website
Approved Fan club for Free, Bad Company and Paul Rodgers
Paul Kossoff Website
Andy Fraser Official Website
Simon Kirke Official Website

フリーは、短い活動期間でありながら、ロック史に残る名曲と、後世に影響を与える音楽性を残しました。彼らの音楽は、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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