フリードリヒ・ヴィルヘルム3世 (プロイセン王)

フリードリヒ・ヴィルヘルム3世

フリードリヒ・ヴィルヘルム3世（Friedrich Wilhelm III.、1770年8月3日 - 1840年6月7日）は、プロイセンの国王であり、1797年から1840年までの長きにわたってその座にありました。彼の統治は、政治的には消極的でしたが、家庭内では理想的な父親として知られていました。彼は平和主義を貫きつつ、混乱した時代にあったにもかかわらず自らの改革ビジョンを発展させることができませんでした。

生い立ちと即位

フリードリヒ・ヴィルヘルム3世は、ポツダムにてフリードリヒ・ヴィルヘルム2世とその妃のフリーデリケの間に生まれました。父の贅沢な生活に反発を覚えつつ育てられた彼は、特異な話し方を身につけ、「不定詞王」とあだ名されるようになりました。彼は1793年に美しいメクレンブルク＝シュトレーリッツ公女ルイーゼと結婚し、理想的な夫婦関係を築いていました。1797年には父の後を継いで国王として即位し、質素な生活を貫き、前妻の愛妾たちを宮廷から追放しました。

政治と改革

フリードリヒ・ヴィルヘルム3世は、王領地の農奴を解放するなどの政策を試みましたが、その改革はユンカーたちとの結びつきが強く、なかなか進展しませんでした。王の周りには改革派の臣下たちがいて、彼らが実質的に改革を推進することになります。特に彼は、フランス革命に関与したことで国際情勢にも巻き込まれることとなりました。その結果、ナポレオンに敗北し、ベルリンが陥落します。この時、彼の妻ルイーゼ王妃は国家の存続を守るために尽力し、広く称賛を浴びました。

先進的な改革と民族主義

戦後のティルジット条約により、プロイセンは領土を失ったものの、生き残りを果たしました。この時、シュタインやハルデンベルクといった政治家が改革を推進し、プロイセンにおけるナショナリズムの高まりも見られました。しかし、王はその後、改革の後退を志向し、特に1815年のブルシェンシャフト運動の弾圧を強化し、カールスバート決議に基づいて民族主義的な動きを抑圧しました。

最後の年々と家族

ルイーゼ王妃の死後、王は1824年にハラハ伯爵夫人アウグステと再婚しました。1840年に王がベルリンで崩御した際、彼の長男フリードリヒ・ヴィルヘルム4世がその遺志を継ぐこととなりました。彼の子女には多くの子が生まれ、家庭内では一貫して理想的な父としての姿勢が伺えます。ルイーゼとの間には5男4女があり、その中でフリードリヒ・ヴィルヘルム4世やフリードリヒ・カールなどが後のプロイセンの重要な地位を占めました。また、1840年にはベートーヴェンから「交響曲第9番」を献呈されるなど、音楽にも関心を持っていました。

フリードリヒ・ヴィルヘルム3世の治世は、平和の中に新たな息吹を求めるも、その多くは未達成に終わることとなります。それでも彼の治世は、妻との深い愛情に彩られた個人の歴史として、プロイセンの豊かな文化に一筋の光を照らしました。

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