フリードリヒ3世 (プファルツ選帝侯)

フリードリヒ3世：信仰と政治に生きたプファルツ選帝侯

フリードリヒ3世（1515年2月14日 - 1576年10月26日）は、16世紀の神聖ローマ帝国におけるプファルツ選帝侯でした。彼はプファルツ＝ジンメルン＝シュポンハイム公ヨハン2世と、バーデン辺境伯クリストフ1世の娘ベアトリクスの間に生まれました。

選帝侯位の継承

フリードリヒ3世は、遠縁にあたるオットー・ハインリヒに実子がなかったため、プファルツ系ヴィッテルスバッハ家の別系統から選帝侯位を継承しました。彼の家系とオットー・ハインリヒの家系は、ローマ王ループレヒト（プファルツ選帝侯としてはループレヒト3世）の息子たちの代で分かれており、フリードリヒ3世はループレヒトの5代後の子孫にあたります。

カルヴァン派への傾倒とハイデルベルク信仰問答

フリードリヒ3世は熱心なカルヴァン派であり、その信仰は彼の政治にも大きな影響を与えました。1563年には、聖餐論論争を背景に、有名なハイデルベルク信仰問答を出版しました。この信仰問答は、カルヴァン派の信仰を体系的にまとめたもので、後の改革派教会において重要な文書となりました。

結婚と子女

フリードリヒ3世は二度の結婚をしています。最初の結婚は1537年、ブランデンブルク＝クルムバッハ辺境伯カジミールの娘マリーとの間でした。彼女との間には、6男5女が生まれました。二度目の結婚は1569年、アマリア・フォン・ノイエンアールとでした。

子女

アルベルタ（1538年 - 1553年）
ルートヴィヒ6世（1539年 - 1583年） - プファルツ選帝侯
エリーザベト（1540年 - 1594年） - ザクセン公ヨハン・フリードリヒ2世に嫁ぐ
ヘルマン・ルートヴィヒ（1541年 - 1556年）
ヨハン・カジミール（1543年 - 1592年） - ジンメルン公
ドロテア・ズザンナ（1544年 - 1592年） - ザクセン＝ヴァイマル公ヨハン・ヴィルヘルムに嫁ぐ
アルブレヒト（1546年 - 1547年）
アンナ・エリーザベト（1549年 - 1609年） - ヘッセン＝ラインフェルス方伯フィリップ2世、後にプファルツ＝リュッツェルシュタイン公ヨハン・アウグストに嫁ぐ
クリストフ（1551年 - 1574年）
カール（1552年 - 1555年）
* クニグンデ・ヤコベア（1556年 - 1586年） - ナッサウ＝ディレンブルク伯ヨハン6世に嫁ぐ

フリードリヒ3世は、信仰と政治の両面でプファルツ選帝侯領に大きな影響を与えた人物として、歴史に名を残しています。彼のカルヴァン派への傾倒は、プファルツ選帝侯領の宗教的、政治的な方向性を決定づけ、後のヨーロッパの歴史にも影響を与えることになりました。

もう一度検索