フリー・ユニオン

フリー・ユニオン（英: free union, 仏: union libre）は、法的な婚姻関係を結ばずに共同生活を送る男女の関係を指します。日本語では「結婚していない同棲関係」と説明されることもあります。

アナキズム思想との関係

19世紀のアメリカにおいて、アナキスト系の新聞『Liberty』を発行していたベンジャミン・タッカーは、ニコライ・チェルヌイシェフスキーの著作『何を為すべきか』の英訳版序文で、フリー・ユニオンについて言及しています。彼は、この著作の主な目的は「女性は男性の利益のために創造されたのではなく、人間である」ということを示し、教会や国家が強制する解消不可能な結婚よりも、男女間の自由な結合（フリー・ユニオン）の方が優れていると主張することだと述べています。この思想は、個人の自由と自己決定権を重視するアナキズムの思想と深く結びついています。

ローマ・カトリック教会からの批判

ローマ・カトリック教会は、「フリー・ユニオン」という言葉が誤解を招きやすい表現であると批判しています。カトリック教会の教理書である『カテキズム』は、「フリー・ユニオン」に含まれる「ユニオン」が何を意味するのか問いかけ、この表現が内縁関係や結婚の拒否を意味し、長期的な関係を築くことを困難にすると指摘しています。カトリック教会は、結婚を神聖なものとみなし、永続的で解消されない関係であることを重視するため、フリー・ユニオンは結婚の尊厳に対する重大な冒涜であると見なしています。

フリー・ユニオンを取り巻く様々な考え方

フリー・ユニオンは、個人の自由な選択を尊重する考え方と、伝統的な家族観や宗教的な価値観との間で、様々な議論を呼んでいます。一部の人々は、結婚という形式にとらわれず、互いの自由を尊重しながら愛情を育むことができるフリー・ユニオンを肯定的に捉えています。他方で、伝統的な家族観を重視する人々は、法的な保護や社会的責任の面から、結婚制度の重要性を主張しています。

関連する概念

フリー・ユニオンに関連する概念としては、以下のようなものがあります。

同棲
事実婚
側室
恋愛至上主義
カップル
結婚
オープン・リレーションシップ
ポリアモリー

これらの概念は、いずれも男女の関係性や家族のあり方に関するものであり、社会の変化とともに多様化しています。

フリー・ユニオンは、単なる同棲関係にとどまらず、個人の価値観や社会的な背景によって、様々な意味合いを持つ複雑な概念であると言えるでしょう。

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