フルート協奏曲第2番 (モーツァルト)

フルート協奏曲第2番ニ長調 K.314(285d)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトによって1778年1月から2月頃に作曲されたフルート協奏曲です。この曲は、裕福な医師でありフルート愛好家であったフェルディナント・ドゥジャンの依頼によって作曲されました。

概要

この協奏曲は、元々モーツァルトが前年に作曲したオーボエ協奏曲ハ長調をニ長調に編曲したものです。そのため、モーツァルトはドゥジャンから約束された報酬の半分以下しか受け取ることができなかったとされています。フルート協奏曲への編曲に際しては、独奏フルートのパートに細かな変更が加えられています。

この曲は、古今のフルート協奏曲の中でも特に人気が高く、演奏会や教育の現場で頻繁に取り上げられています。

編成

独奏フルート
オーボエ2
ホルン2
ヴァイオリン2部
ヴィオラ
低弦（チェロ、コントラバス）

構成

全3楽章からなり、演奏時間は約20分です。

第1楽章：アレグロ・アペルト ニ長調 4分の4拍子 協奏風ソナタ形式

「アペルト（開放的な）」という名の通り、冒頭はヴァイオリンが力強く第1主題を提示します。この主題は、若々しく勢いがあり、3和音的に上へ向かって伸びていくのが特徴です。対照的に、第2主題はヴァイオリンによって下降する美しい旋律で奏でられます。管弦楽による提示部の後、独奏フルートが登場し、ニ長調の音階を駆け上がる華やかな出だしは印象的です。フルートの持続音の陰で、ヴァイオリンが第1主題を回想のように繰り返します。その後、フルートの華やかな経過句を経て、属調のイ長で第2主題が提示され、コデッタへと続きます。
展開部は、モーツァルトの他の協奏曲と同様に短く、提示部でフルートが奏でた経過句の動機が主に扱われます。再現部、カデンツァ、短いコーダを経て、華やかに曲を終えます。

第2楽章：アンダンテ・マ・ノン・トロッポ ト長調 4分の3拍子 ソナタ形式

やや自由なソナタ形式で構成されています。まず、管弦楽による朗々とした序奏があり、その後、フルート独奏が哀愁を帯びた第1主題を奏で始めます。続いて、属調のニ長調に転じ、フルートとヴァイオリンが二重唱のように第2主題を奏でます。展開部は短い中間部（フルートのカデンツァ風の楽句）となり、再現部では序奏主題と第2主題のみが再現され、第1主題に基づくコーダが付随しています。そのため、全体としては変則的なロンド形式と捉えることもできます。

第3楽章：アレグロ ニ長調 4分の2拍子 変則的なソナタ形式

ロンド風のソナタ形式で、調性関係など、かなり自由な構成となっています。冒頭、フルート独奏が快活な第1主題を奏で、続いてオーボエとホルンが副主題を提示します。一段落すると、再びフルート独奏により第2主題が奏でられます。
展開部では、フルート独奏が中心となり、既出の主題が技巧的に展開されます。この部分は、ベートーヴェンの中期以降のロンド・フィナーレを予感させるものとも言えます。展開部の後、再現部となり、カデンツァを経てコーダへと進み、最後にもう一度第1主題が現れて華やかに曲を閉じます。

参考文献

『作曲家別名曲解説ライブラリー13 モーツァルトI』（音楽之友社）

外部リンク

フルート協奏曲第2番ニ長調 K.314(285d)の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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