フレックス燃料車

フレックス燃料車とは

フレックス燃料車（Flexible-fuel vehicle、略称: FFV）は、複数の燃料を混合することができるよう設計された自動車です。代表的な燃料としては、ガソリンとともにメタノールやエタノールが使用されます。このような車両は、デュアルフューエルビークルとも呼ばれ、燃料供給の柔軟性が特徴です。

構造と技術

フレックス燃料車の核心には、混合燃料の組成を感知するセンサーと、燃料供給量を調整するコンピュータが搭載されている点があります。このシステムにより、ドライバーはどのような燃料の比率でも走行することが可能です。つまり、ガソリンとエタノールを自由な割合で混ぜた燃料を利用でき、環境や経済状況に応じた燃料選択ができるのです。

エタノールフレックス燃料車の普及

エタノールを使用するフレックス燃料車は特に普及しており、2008年時点では、アメリカには約730万台、ブラジルには620万台、カナダには60万台、そしてスウェーデンを含む欧州には約12万6,500台が存在しました。これら4カ国を合わせると、合計で約1,400万台ものフレックス燃料車が生産されています。特にブラジルでは、エタノールの利用が奨励され、幅広い普及が見られます。

燃料混合比と性能

フレックス燃料車は、理論的にはガソリン100%からエタノール100%（E100）まで、あらゆる混合比による走行が可能です。しかし、実際には北米と欧州においては、冷間始動時の性能を考慮し、最大でガソリン15%と無水エタノール85%のE85での走行に制限されています。具体的には、気温が11℃未満の場合、エンジンの始動に必要な燃料供給が難しくなるため、このような制約が設けられているのです。

また、冬季の寒冷期には更なる制限があり、アメリカでは気温が0℃以下になるとE70まで、スウェーデンでもE75までアルコールの混合率が減少します。これに対して、ブラジルのフレックス燃料車は、E20から100%の含水アルコール（E100）での走行が可能であり、寒冷地仕様としてガソリンタンクを装備し、特に気温が15℃以下の際にエンジン始動に必要なガソリンを使用します。

まとめ

このように、フレックス燃料車は燃料の多様性によるメリットを活かし、地球環境に配慮した自動車として注目されています。将来的にはさらに多くの国や地域で普及し、よりエコフレンドリーな交通手段としての役割を果たすことが期待されています。

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